兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
駐車場に車をとめると、蓮人は荷物は置いたまま、私を支えながら部屋までエスコートしてくれる。
鍵も扉を開けることも、靴を脱ぐことすら蓮人がしてくれる。
私は部屋の中にあるソファに誘導されて、そこに座らされると横になるように体を倒される。

「ちょっと待ってろ。」
蓮人はそう言って寝室から毛布を持ってくると私の体にかけた。
私の頬に触れて体温を確認する。
「荷物持ってくるから。絶対に動くなよ?」
幼い子供に言い聞かせるように私に言うと、蓮人は足早に玄関から出た。

蓮人はどう思っているのだろうか。
私が赤ちゃんを産むという選択を、認めてくれるだろうか。
確信をつくような言葉を言ってくれない蓮人。
何を考えているのかわからないのが余計不安になる。
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