白い結婚なので離縁を決意したら、夫との溺愛生活に突入していました。いつから夫の最愛の人になったのかわかりません!
妻の不思議と第一殿下 1
煌びやかな夜会会場にイクセルはいない。
挨拶に来る貴族たちを対応しつつ、まだ来てないのかなぁ……と周りを見た。
それにしても、挨拶が意外と多い。やっぱり、どの貴族もフィルベルド様と懇意にしたいのだと改めて思った。一通り挨拶が終わると、知らない令嬢が3人私を、囲むように足を止める。
また挨拶かしら? と思うけど、そんな雰囲気ではなかった。
「フィルベルド様はどちらに?」
意地悪な笑顔の令嬢がそう言う。
「フィルベルド様は、少し席をはずされています」
そう言うと、クスクスと3人で笑う。
「夫において行かれる妻なんて本当に恥ずかしいわ」
「私が妻なら、フィルベルド様に行ってはいけませんよ、とちゃんとご説明するのに」
「そもそも、6年も放置されるなんて……私なら毎月ちゃんと帰って来て下さいと、夫の管理ぐらいしますわ」
「白い結婚だから仕方ないわ……6年も放置されるなら、その間に離縁をすればいいのに。私なら、お父様にお願いしますわ。まぁ、私たちなら6年も隣国ゼノンリード王国に行かせる仕事なんてさせませんけど」
隣国ゼノンリード王国に行っているのに、毎月毎月家に帰られるわけがない。
『ご近所にちょっと出張に行ってくる』ってわけではない。どんな感覚をしているのか。
それに、フィルベルド様が真剣に取り組んでいる仕事を、理由もなく止められるわけがないがないし、しかも、この6年に離縁すればいい? 相手の承諾もなく離縁状なんか出せるわけがない。
なんで私が、離縁をしたいために犯罪をおかさねばならないのか……偽造離縁状は犯罪です。
「夫の承諾もなしに離縁状を勝手に出すのは犯罪ですよ? それとも、隣国ゼノンリード王国に行って、殿下の護衛に付いているところに参上し、離縁状を書いてもらえと? すみません、私には、離縁状のために隣国ゼノンリード王国の王宮にまで行って、そんなことをするという発想がなかったですわ」
「「「……っ!!!!」」」
ほうッとため息を吐きながらそう言った。まさか、言い返されるとは思ってなかったようで、驚かれると同時にご令嬢たちの顔がカァッと赤くなる。
「どうせ形だけの結婚のくせに!!白い結婚なら、一人で離縁状ぐらい出せるでしょ!!」
「「そうよ!!」」
一人がそう言うと、追従してそう言われる。
どうせなら、自分の意志で言ってほしい。私を嫌っていようと、その人がそう言うから私も……なんて発想に疲れる。
「それは、夫が死別したり、失踪した場合とか特殊な条件下です。フィルベルド様は、お仕事だとわかっていますから……大人しくフィルベルド様を待っておりましたの」
しおらしくそう言った。意地悪な言い方だとは思うけど、つっかかってきたのはそちらなのだから、これで下がって欲しい。
これでも、不愉快な思いは感じているのだ。
「では……私はまだご用がありますから、失礼しますね」
微笑みながらそう言って、その場を去った。
ご令嬢たちを残して、また笑い者にならないように控え室で待っていようと会場を出た。
庭の渡り廊下を歩いていると、控え室のある奥からフィルベルド様が歩いてくる。アスラン殿下のご用が終わったのかと思えば、会場では無く庭へと進んでいった。
先ほどと衣装も違うし、まだ仕事は終わってないのだろう。
私は声もかけずにフィルベルド様を見ながら、庭を横目に歩いていた。
そのまま、正面を見ていなくて、ボスンッと誰かに衝突にした。
「す、すみませんっ!」
慌てて頭を下げて謝った。
「気にしなくて大丈夫ですよ」
そう言った男性の声で顔を上げると、そこにいたのはアスラン殿下と同じ赤髪の方。
見覚えのある顔にサァーーと青ざめた。
「も、申し訳ありません! クレイグ殿下にぶつかるなど……っ」
「あぁ……本当に大丈夫だから。あなたは、フィルベルドの奥方だね? こんなところでどうしたのかな? 夜会はまだ続いているだろう?」
見覚えがあるのは当然だ。今日の任命式でアスラン殿下と一緒に出席されたのだから。
しかも、アスラン殿下の兄上で彼と同じ赤髪。間違えるわけがない。
「フィルベルドはどうしたんだい? 一緒じゃなかったのかい?」
「い、いえっ……あのフィルベルド様は、少しだけ席を外されているだけで……」
「そう……フィルベルドは、忙しい男だから、苦労をするでしょう」
「でも、そんな方だとわかっていますから……」
「フーン……」と顎に手を当てて、私を見ながら含みのある笑顔を見せて来るクレイグ殿下。
「もし、時間があるなら庭にでも行かない? 夜会に一人は大変でしょう」
クレイグ殿下は、庭に行ったフィルベルド様のところに私を連れていってくれようとしているのだろうか。
「……控え室でフィルベルド様をお待ちしますから……フィルベルド様の邪魔はできませんし……」
「フィル……ベルド?」
驚いたように、クレイグ殿下の表情が変わった。
「あの……クレイグ殿下。私は、控え室に行こうとしていただけですので、どうぞお気遣いなく……」
「そう……では、ぶつかった詫びと思って少しだけ私に付き合ってもらおうかな? 庭で少しだけ休みたいんだ」
元の笑顔に戻ったクレイグ殿下にそう言われる。殿下にぶつかってしまったと思うと断れず、クレイグ殿下のお供で庭へと行った。
挨拶に来る貴族たちを対応しつつ、まだ来てないのかなぁ……と周りを見た。
それにしても、挨拶が意外と多い。やっぱり、どの貴族もフィルベルド様と懇意にしたいのだと改めて思った。一通り挨拶が終わると、知らない令嬢が3人私を、囲むように足を止める。
また挨拶かしら? と思うけど、そんな雰囲気ではなかった。
「フィルベルド様はどちらに?」
意地悪な笑顔の令嬢がそう言う。
「フィルベルド様は、少し席をはずされています」
そう言うと、クスクスと3人で笑う。
「夫において行かれる妻なんて本当に恥ずかしいわ」
「私が妻なら、フィルベルド様に行ってはいけませんよ、とちゃんとご説明するのに」
「そもそも、6年も放置されるなんて……私なら毎月ちゃんと帰って来て下さいと、夫の管理ぐらいしますわ」
「白い結婚だから仕方ないわ……6年も放置されるなら、その間に離縁をすればいいのに。私なら、お父様にお願いしますわ。まぁ、私たちなら6年も隣国ゼノンリード王国に行かせる仕事なんてさせませんけど」
隣国ゼノンリード王国に行っているのに、毎月毎月家に帰られるわけがない。
『ご近所にちょっと出張に行ってくる』ってわけではない。どんな感覚をしているのか。
それに、フィルベルド様が真剣に取り組んでいる仕事を、理由もなく止められるわけがないがないし、しかも、この6年に離縁すればいい? 相手の承諾もなく離縁状なんか出せるわけがない。
なんで私が、離縁をしたいために犯罪をおかさねばならないのか……偽造離縁状は犯罪です。
「夫の承諾もなしに離縁状を勝手に出すのは犯罪ですよ? それとも、隣国ゼノンリード王国に行って、殿下の護衛に付いているところに参上し、離縁状を書いてもらえと? すみません、私には、離縁状のために隣国ゼノンリード王国の王宮にまで行って、そんなことをするという発想がなかったですわ」
「「「……っ!!!!」」」
ほうッとため息を吐きながらそう言った。まさか、言い返されるとは思ってなかったようで、驚かれると同時にご令嬢たちの顔がカァッと赤くなる。
「どうせ形だけの結婚のくせに!!白い結婚なら、一人で離縁状ぐらい出せるでしょ!!」
「「そうよ!!」」
一人がそう言うと、追従してそう言われる。
どうせなら、自分の意志で言ってほしい。私を嫌っていようと、その人がそう言うから私も……なんて発想に疲れる。
「それは、夫が死別したり、失踪した場合とか特殊な条件下です。フィルベルド様は、お仕事だとわかっていますから……大人しくフィルベルド様を待っておりましたの」
しおらしくそう言った。意地悪な言い方だとは思うけど、つっかかってきたのはそちらなのだから、これで下がって欲しい。
これでも、不愉快な思いは感じているのだ。
「では……私はまだご用がありますから、失礼しますね」
微笑みながらそう言って、その場を去った。
ご令嬢たちを残して、また笑い者にならないように控え室で待っていようと会場を出た。
庭の渡り廊下を歩いていると、控え室のある奥からフィルベルド様が歩いてくる。アスラン殿下のご用が終わったのかと思えば、会場では無く庭へと進んでいった。
先ほどと衣装も違うし、まだ仕事は終わってないのだろう。
私は声もかけずにフィルベルド様を見ながら、庭を横目に歩いていた。
そのまま、正面を見ていなくて、ボスンッと誰かに衝突にした。
「す、すみませんっ!」
慌てて頭を下げて謝った。
「気にしなくて大丈夫ですよ」
そう言った男性の声で顔を上げると、そこにいたのはアスラン殿下と同じ赤髪の方。
見覚えのある顔にサァーーと青ざめた。
「も、申し訳ありません! クレイグ殿下にぶつかるなど……っ」
「あぁ……本当に大丈夫だから。あなたは、フィルベルドの奥方だね? こんなところでどうしたのかな? 夜会はまだ続いているだろう?」
見覚えがあるのは当然だ。今日の任命式でアスラン殿下と一緒に出席されたのだから。
しかも、アスラン殿下の兄上で彼と同じ赤髪。間違えるわけがない。
「フィルベルドはどうしたんだい? 一緒じゃなかったのかい?」
「い、いえっ……あのフィルベルド様は、少しだけ席を外されているだけで……」
「そう……フィルベルドは、忙しい男だから、苦労をするでしょう」
「でも、そんな方だとわかっていますから……」
「フーン……」と顎に手を当てて、私を見ながら含みのある笑顔を見せて来るクレイグ殿下。
「もし、時間があるなら庭にでも行かない? 夜会に一人は大変でしょう」
クレイグ殿下は、庭に行ったフィルベルド様のところに私を連れていってくれようとしているのだろうか。
「……控え室でフィルベルド様をお待ちしますから……フィルベルド様の邪魔はできませんし……」
「フィル……ベルド?」
驚いたように、クレイグ殿下の表情が変わった。
「あの……クレイグ殿下。私は、控え室に行こうとしていただけですので、どうぞお気遣いなく……」
「そう……では、ぶつかった詫びと思って少しだけ私に付き合ってもらおうかな? 庭で少しだけ休みたいんだ」
元の笑顔に戻ったクレイグ殿下にそう言われる。殿下にぶつかってしまったと思うと断れず、クレイグ殿下のお供で庭へと行った。