白い結婚なので離縁を決意したら、夫との溺愛生活に突入していました。いつから夫の最愛の人になったのかわかりません!
夫と第一殿下
「ディアナ!! どこだ!? ディアナ!!」
クレイグ殿下の後宮に着くと、衛兵たちは必死で俺たちの侵入を止めて来ていた。
「アクスウィス団長! お止まりください!! ここをどこだと思っているのです!!」
「邪魔だ! ディアナをどこに隠した!!」
衛兵たちともみ合いなぎ倒していると、後宮からクレイグ殿下がゆっくりと歩いて現れた。
「フィルベルド。ここをどこだと思っているんだい? 戦場ではないぞ」
「クレイグ殿下! ディアナをお返しください! 何故、ディアナを連れてくる必要があるのです!?」
斬りかかりたい気持ちを必死でおさえて、クレイグ殿下と対面するが、彼はニコリと上機嫌だった。
「君がそんなに必死になって怒るのは初めて見たねぇ。女に興味がないと思っていたんだけど……でも、返さないよ。ディアナのことは気に入っているんだ」
「……っディアナは俺の妻ですよ!」
「でも、6年も放置していた。彼女はずっと待っていたんじゃないのかい?」
罪悪感を刺激するようにクレイグ殿下がそう言うと、歯ぎしりして気持ちを抑えた。
「こんな騒ぎを起こして……フィルベルドは、しばらくは謹慎するのがいいだろうねぇ。ちなみに、既婚者を後宮に入れることは罪ではないから私に非は無いからね」
「……ディアナに、今すぐ会わせて頂きたい!」
「嫌だね。何故、私がフィルベルドの要望を聞いてあげないといけないんだい? それに、彼女は疲れて眠っているよ」
その言葉にいっそう腹ただしくなる。
「ディアナの寝顔を見たのですか!?」
「当然だろう。いつも淡々としている娘だけど、寝顔は可愛かったねぇ……もしかして、まだ寝顔一つ見たことないのかい?」
「ディアナは寝顔だけじゃなくて、いつも可愛いですけどね! むしろ可愛くないところが見つかりませんね!」
一度しか見たことないディアナの寝顔。クレイグ殿下が挑発しているのはわかるし、俺の神経を逆なでするのに成功している。
今すぐに急所を刺したくなる気持ちを更に抑えて、彼に対抗心を燃やしてそう言った。
「そう……でも、ディアナのことは何でも知っているのかな? 彼女のことを何でも知っていれば、今頃この後宮にはいなかっただろうね」
ディアナのことは、俺よりもクレイグ殿下のほうが知っていると言いたげな発言に少し戸惑った。
彼女が、何故この後宮に連れてこられたのか、クレイグ殿下の言う通り、わからないからだ。
まさか、自分から来たのだろうか。それなら、イクセル殿があんな鬼気迫る様子で助けを求めるのだろうか。わからない。
そして、一番わからないのは、いつ、どこで、クレイグ殿下とディアナが知り合ったからだ。
「……クレイグ殿下は、一体いつディアナを見初めたのですか?」
「……いつだろうねぇ。私とディアナが会っていた事もディアナから聞いてなかったのかい? それとも、ディアナが隠していたのかな?」
そう言って、フフッと笑うクレイグ殿下。
ディアナがクレイグ殿下と一緒にいた事なんて知らない。クレイグ殿下と出かけるならオスカーが言うはずだし、先日のケーキのことだってイクセル殿が来たと報告を受けた……だが、先ほどのイクセル殿の反応が気になってきた。
「ディアナには、会わせてくれないのですか?」
「会わせる気はないよ。これ以上騒ぐなら、私も騎士団を呼ぼう」
そう言って、クレイグ殿下はいつものようにニコリとする。
「では、会わせてもらえるまで何度でも来ます」
「そう……でも、フィルベルドはしばらく謹慎してもらうよ。私の後宮で騒ぎを起こしたのだからね」
「俺がそんなことで引くとお思いですか? ディアナを取り戻すまでは諦めませんよ」
今ここで捕えられるわけにはいかない。それとも、ディアナを連れてこのまま逃げようか、そんなことが脳裏をかすった。
「団長……一度引きましょう……このままでは……」
一緒に来た騎士の1人がそう言った。
この後宮にディアナがいるのに、手が届かないことがもどかしい。
「……行くぞ」
奥歯を噛みしめてそう言うと、踵を返してその場に背を向けて歩き出し、クレイグ殿下はそれを勝ち誇ったように見送っていた。
「ルトガーをすぐに呼べ。それとイクセル殿も呼んでくれ」
「はい。すぐにお呼びします!」
心穏やかでないまま、後宮を後にして執務室へと向かっていた。
そして、俺はこの後、クレイグ殿下に不敬を働き、私欲により後宮で騒ぎを起こした、ということで謹慎処分となった。
クレイグ殿下の後宮に着くと、衛兵たちは必死で俺たちの侵入を止めて来ていた。
「アクスウィス団長! お止まりください!! ここをどこだと思っているのです!!」
「邪魔だ! ディアナをどこに隠した!!」
衛兵たちともみ合いなぎ倒していると、後宮からクレイグ殿下がゆっくりと歩いて現れた。
「フィルベルド。ここをどこだと思っているんだい? 戦場ではないぞ」
「クレイグ殿下! ディアナをお返しください! 何故、ディアナを連れてくる必要があるのです!?」
斬りかかりたい気持ちを必死でおさえて、クレイグ殿下と対面するが、彼はニコリと上機嫌だった。
「君がそんなに必死になって怒るのは初めて見たねぇ。女に興味がないと思っていたんだけど……でも、返さないよ。ディアナのことは気に入っているんだ」
「……っディアナは俺の妻ですよ!」
「でも、6年も放置していた。彼女はずっと待っていたんじゃないのかい?」
罪悪感を刺激するようにクレイグ殿下がそう言うと、歯ぎしりして気持ちを抑えた。
「こんな騒ぎを起こして……フィルベルドは、しばらくは謹慎するのがいいだろうねぇ。ちなみに、既婚者を後宮に入れることは罪ではないから私に非は無いからね」
「……ディアナに、今すぐ会わせて頂きたい!」
「嫌だね。何故、私がフィルベルドの要望を聞いてあげないといけないんだい? それに、彼女は疲れて眠っているよ」
その言葉にいっそう腹ただしくなる。
「ディアナの寝顔を見たのですか!?」
「当然だろう。いつも淡々としている娘だけど、寝顔は可愛かったねぇ……もしかして、まだ寝顔一つ見たことないのかい?」
「ディアナは寝顔だけじゃなくて、いつも可愛いですけどね! むしろ可愛くないところが見つかりませんね!」
一度しか見たことないディアナの寝顔。クレイグ殿下が挑発しているのはわかるし、俺の神経を逆なでするのに成功している。
今すぐに急所を刺したくなる気持ちを更に抑えて、彼に対抗心を燃やしてそう言った。
「そう……でも、ディアナのことは何でも知っているのかな? 彼女のことを何でも知っていれば、今頃この後宮にはいなかっただろうね」
ディアナのことは、俺よりもクレイグ殿下のほうが知っていると言いたげな発言に少し戸惑った。
彼女が、何故この後宮に連れてこられたのか、クレイグ殿下の言う通り、わからないからだ。
まさか、自分から来たのだろうか。それなら、イクセル殿があんな鬼気迫る様子で助けを求めるのだろうか。わからない。
そして、一番わからないのは、いつ、どこで、クレイグ殿下とディアナが知り合ったからだ。
「……クレイグ殿下は、一体いつディアナを見初めたのですか?」
「……いつだろうねぇ。私とディアナが会っていた事もディアナから聞いてなかったのかい? それとも、ディアナが隠していたのかな?」
そう言って、フフッと笑うクレイグ殿下。
ディアナがクレイグ殿下と一緒にいた事なんて知らない。クレイグ殿下と出かけるならオスカーが言うはずだし、先日のケーキのことだってイクセル殿が来たと報告を受けた……だが、先ほどのイクセル殿の反応が気になってきた。
「ディアナには、会わせてくれないのですか?」
「会わせる気はないよ。これ以上騒ぐなら、私も騎士団を呼ぼう」
そう言って、クレイグ殿下はいつものようにニコリとする。
「では、会わせてもらえるまで何度でも来ます」
「そう……でも、フィルベルドはしばらく謹慎してもらうよ。私の後宮で騒ぎを起こしたのだからね」
「俺がそんなことで引くとお思いですか? ディアナを取り戻すまでは諦めませんよ」
今ここで捕えられるわけにはいかない。それとも、ディアナを連れてこのまま逃げようか、そんなことが脳裏をかすった。
「団長……一度引きましょう……このままでは……」
一緒に来た騎士の1人がそう言った。
この後宮にディアナがいるのに、手が届かないことがもどかしい。
「……行くぞ」
奥歯を噛みしめてそう言うと、踵を返してその場に背を向けて歩き出し、クレイグ殿下はそれを勝ち誇ったように見送っていた。
「ルトガーをすぐに呼べ。それとイクセル殿も呼んでくれ」
「はい。すぐにお呼びします!」
心穏やかでないまま、後宮を後にして執務室へと向かっていた。
そして、俺はこの後、クレイグ殿下に不敬を働き、私欲により後宮で騒ぎを起こした、ということで謹慎処分となった。