白い結婚なので離縁を決意したら、夫との溺愛生活に突入していました。いつから夫の最愛の人になったのかわかりません!
夫は真実に気付き青ざめた
6年前。
アスラン殿下は、薬を盛られすぐに薬師に診てもらったが体調の強弱が著しく不審に思い調べると、呪いまでかけられていることが判明した。
だが、呪いが身体のどこにかけられているのか誰にも見えなかった。
そのために、呪いを解くには遺物と呼ばれる『真実の瞳』が必要だった。
隣国ゼノンリード王国にアスラン殿下と第二騎士団が行くことになった目的は殿下の護衛であるのはもちろんのこと、表向きは留学と外交。
事実は暗殺から逃れるため、そして『真実の瞳』を探し出すためだった。
唯一『真実の瞳』の噂があったのは100年ほど前にゼノンリード王国で噂になったものだけだったから。
ゼノンリード王国で腕のいい薬師に診てもらいながらも身体は次第に良くなったがアスラン殿下は、更に毒の耐性をつける訓練も行っていた。
それでも、強弱の不安定な呪いに体力は奪われており、普段の生活ができる時もあれば、三日も寝込むこともある。
だが、アスラン殿下の呪いなんか国に発表できるものではなかった。
その結果、影武者を立てることになり、殿下が呪いで動けない時は、俺が殿下の身代わりになり彼になりすますことになった。
アスラン殿下は、勇敢な殿下で幼い時より騎士の訓練もし、その頃からアクスウィス公爵家で年の近い俺が側についていた。
そのため殿下とは、親しい友人でもありながら、その上第二殿下であるアスラン殿下をお守りする任についていた俺に影武者の話がくるのは自然なことだった。
誰でも殿下の影武者にはなれない。仕草や教養……それは、公爵家の嫡男として嗜んできたものであり、しかも殿下と幼少期から過ごしてきた俺が適任で、それは誰にでも代われるものではなかったからだ。
そして、あの任命式の日。
あの時も、いつものように変身魔法でアスラン殿下になりすましていた。
ディアナを一刻も早く迎えに行きたいという気持ちがありながらも、任命式でアスラン殿下に倒れられるわけにはいかない。
とにかくさっさと追い返して、ディアナを迎えに行こうとしていたが、アルレット嬢は昔よりも積極的になっていた。
アスラン殿下になりすましているために、引き離すことがなかなかできず、そのうえ任命式の夜会では、抱きついてきたアルレット嬢をなだめるのに軽く抱き、ゆっくり離して手の甲に口付けをした……。
手の甲の口づけもアスラン殿下がアルレット嬢との別れ際にいつもしていたこと。
だから、アスラン殿下らしくそうしていた。
____あれをディアナに見られていただと!?
身体中の体温が一気に下がる。
もし、俺の予想通りディアナが『真実の瞳』の能力持ちなら、変身魔法なんか関係ないのでは!?
イクセルとオスカーの言う通りなら、間違いなくディアナには俺がアスラン殿下ではなく、フィルベルド本人に見えていたはず。
ディアナが、アルレット嬢との仲を疑うのは当然だった。
ディアナを置いて、逢引きにおあつらえ向きなひと気のない雰囲気のある庭にアルレット嬢と二人でいたのだから……。
ひと気がないと言っても、庭は無人ではない。気配があったのもわかっていたが、誰かにアスラン殿下と入れ替わっているとバレないようにああしたことが、まさかディアナに浮気の疑惑を加速させていたとは!!
「……っディ、ディアナーー!!」
「「フィ、フィルベルド様ぁーーーー!?」」
これは、不味い!!
このままでは、俺は妻を放置して愛人と密かに逢引きしている浮気者だ!!
ディアナを傷つけたままになってしまう!!
ディアナの誤解を解かなくては、となりふり構わずに部屋を飛び出した。
イクセルとオスカーはその様子に驚いている。
「フィルベルド様……?」
入れ替わりでこの部屋にやって来たルトガーにも目もくれずにクレイグ殿下の後宮へと一目散に向かった。
「フィルベルド団長!? お下がりください!! 先ほどクレイグ殿下から、下がるように言われたばかりですよ!?」
「そこを通せ!! 妻に会わなければならん!! 緊急だ!!」
警備用の細長の槍を向けられ後宮に入ることを衛兵に止められている。
再度衛兵たちともみ合っていると、その騒ぎの中クレイグ殿下が呆れたようにやって来た。
「……フィルベルド。君は何を考えているんだい? さきほど謹慎処分になったはずだろう?」
「ええ、おかげさまで騎士団を休むことができて、こうしてディアナのことだけ考えてられます!!」
「……謹慎の内容は? ……騎士団を休むことかい?」
「……邸から出ないようにとはなっていませんね。だから、ここへ来ても問題にはなりません」
お互いににらみ合いそう言うと、クレイグ殿下はため息を吐いている。
「ディアナを返してください。どんなものよりも大事な妻です」
「君が大事なものは仕事とアスランだろう」
「そうなら、謹慎を受けてまで取り返しには来ません!」
「ふーん……でも、嫌だね。ディアナとは、気が合うし面白いから返さないよ。さぁ、帰ってくれるかい?」
「……ディアナの様子は?」
「元気だよ。だから、本当っ――に帰ってくれないかい。そろそろ晩餐の支度をしないといけないからね」
「いいでしょう。とりあえず一度帰ります。ですが、また来ますからね」
「少なくとも今日はもう来ないでもらいたいね」
フンッと、踵を返して後宮を後にする。
謹慎処分を受けているから、騎士団には行けず、そのまま邸へと帰ることとなった。
アスラン殿下は、薬を盛られすぐに薬師に診てもらったが体調の強弱が著しく不審に思い調べると、呪いまでかけられていることが判明した。
だが、呪いが身体のどこにかけられているのか誰にも見えなかった。
そのために、呪いを解くには遺物と呼ばれる『真実の瞳』が必要だった。
隣国ゼノンリード王国にアスラン殿下と第二騎士団が行くことになった目的は殿下の護衛であるのはもちろんのこと、表向きは留学と外交。
事実は暗殺から逃れるため、そして『真実の瞳』を探し出すためだった。
唯一『真実の瞳』の噂があったのは100年ほど前にゼノンリード王国で噂になったものだけだったから。
ゼノンリード王国で腕のいい薬師に診てもらいながらも身体は次第に良くなったがアスラン殿下は、更に毒の耐性をつける訓練も行っていた。
それでも、強弱の不安定な呪いに体力は奪われており、普段の生活ができる時もあれば、三日も寝込むこともある。
だが、アスラン殿下の呪いなんか国に発表できるものではなかった。
その結果、影武者を立てることになり、殿下が呪いで動けない時は、俺が殿下の身代わりになり彼になりすますことになった。
アスラン殿下は、勇敢な殿下で幼い時より騎士の訓練もし、その頃からアクスウィス公爵家で年の近い俺が側についていた。
そのため殿下とは、親しい友人でもありながら、その上第二殿下であるアスラン殿下をお守りする任についていた俺に影武者の話がくるのは自然なことだった。
誰でも殿下の影武者にはなれない。仕草や教養……それは、公爵家の嫡男として嗜んできたものであり、しかも殿下と幼少期から過ごしてきた俺が適任で、それは誰にでも代われるものではなかったからだ。
そして、あの任命式の日。
あの時も、いつものように変身魔法でアスラン殿下になりすましていた。
ディアナを一刻も早く迎えに行きたいという気持ちがありながらも、任命式でアスラン殿下に倒れられるわけにはいかない。
とにかくさっさと追い返して、ディアナを迎えに行こうとしていたが、アルレット嬢は昔よりも積極的になっていた。
アスラン殿下になりすましているために、引き離すことがなかなかできず、そのうえ任命式の夜会では、抱きついてきたアルレット嬢をなだめるのに軽く抱き、ゆっくり離して手の甲に口付けをした……。
手の甲の口づけもアスラン殿下がアルレット嬢との別れ際にいつもしていたこと。
だから、アスラン殿下らしくそうしていた。
____あれをディアナに見られていただと!?
身体中の体温が一気に下がる。
もし、俺の予想通りディアナが『真実の瞳』の能力持ちなら、変身魔法なんか関係ないのでは!?
イクセルとオスカーの言う通りなら、間違いなくディアナには俺がアスラン殿下ではなく、フィルベルド本人に見えていたはず。
ディアナが、アルレット嬢との仲を疑うのは当然だった。
ディアナを置いて、逢引きにおあつらえ向きなひと気のない雰囲気のある庭にアルレット嬢と二人でいたのだから……。
ひと気がないと言っても、庭は無人ではない。気配があったのもわかっていたが、誰かにアスラン殿下と入れ替わっているとバレないようにああしたことが、まさかディアナに浮気の疑惑を加速させていたとは!!
「……っディ、ディアナーー!!」
「「フィ、フィルベルド様ぁーーーー!?」」
これは、不味い!!
このままでは、俺は妻を放置して愛人と密かに逢引きしている浮気者だ!!
ディアナを傷つけたままになってしまう!!
ディアナの誤解を解かなくては、となりふり構わずに部屋を飛び出した。
イクセルとオスカーはその様子に驚いている。
「フィルベルド様……?」
入れ替わりでこの部屋にやって来たルトガーにも目もくれずにクレイグ殿下の後宮へと一目散に向かった。
「フィルベルド団長!? お下がりください!! 先ほどクレイグ殿下から、下がるように言われたばかりですよ!?」
「そこを通せ!! 妻に会わなければならん!! 緊急だ!!」
警備用の細長の槍を向けられ後宮に入ることを衛兵に止められている。
再度衛兵たちともみ合っていると、その騒ぎの中クレイグ殿下が呆れたようにやって来た。
「……フィルベルド。君は何を考えているんだい? さきほど謹慎処分になったはずだろう?」
「ええ、おかげさまで騎士団を休むことができて、こうしてディアナのことだけ考えてられます!!」
「……謹慎の内容は? ……騎士団を休むことかい?」
「……邸から出ないようにとはなっていませんね。だから、ここへ来ても問題にはなりません」
お互いににらみ合いそう言うと、クレイグ殿下はため息を吐いている。
「ディアナを返してください。どんなものよりも大事な妻です」
「君が大事なものは仕事とアスランだろう」
「そうなら、謹慎を受けてまで取り返しには来ません!」
「ふーん……でも、嫌だね。ディアナとは、気が合うし面白いから返さないよ。さぁ、帰ってくれるかい?」
「……ディアナの様子は?」
「元気だよ。だから、本当っ――に帰ってくれないかい。そろそろ晩餐の支度をしないといけないからね」
「いいでしょう。とりあえず一度帰ります。ですが、また来ますからね」
「少なくとも今日はもう来ないでもらいたいね」
フンッと、踵を返して後宮を後にする。
謹慎処分を受けているから、騎士団には行けず、そのまま邸へと帰ることとなった。