白い結婚なので離縁を決意したら、夫との溺愛生活に突入していました。いつから夫の最愛の人になったのかわかりません!
妻は鎖を振り回す
目を覚ますと、知らない部屋の大きなベッドに横たわっている。
そして、意識が亡くなる前のリンディス伯爵家の出来事を思い出した。
「イクセル!? イクセルは!?」
ハッとして慌てて起き上がると、ジャリッと鈍い音がして、足を見ると足枷に鎖が繋がっていた。
「なんで!? 靴は!?」
裸足のままベッドの下におり、鎖を持つと長さが長いことがわかる。
そのまま、鎖を持って部屋の扉の前に行くと、鎖はそこまでの長さがあるとわかる。
でも、今の私にいつもの冷静さはなかった。
扉をガタガタと開けようとしても開かないし、開いても鎖に繋がれているから部屋からも出られない。窓からでても同じだ。鎖でぶら下がるだけになってしまう。
それを考えると怖くて、窓からは出られない。
この鎖はどうやって切るの!?
そもそも、どうして私が繋がれているのよ!!
鎖を持ったまま、部屋の中を落ち着かない様子で歩き回ると、扉の鍵がカチャンと開く音がして扉を見た。
「あぁ……目が覚めたんだね」
「クレイグ殿下!?」
部屋に入って来たのはクレイグ殿下。
そうだ……私は、この人に捕まったんだ……なんで!?
「クレイグ殿下! これはなんのつもりですか! それに、イクセルをどうしたんですか!?」
「イクセルは大丈夫だよ。倒れていたけど致命傷なんかないし、すぐに誰かが手当てをするんじゃないかな」
いつもの飄々とした様子で話すクレイグ殿下がそう言いながら近づいてくる。
「鎖を解いてください」
「解くと逃げられるだろう」
その瞬間、持っていた鎖を振りクレイグ殿下を攻撃したが、魔法で壁を作られてしまい鎖は軽く弾かれてしまう。
「君は何をするんだい?」
「それは、こっちのセリフです! どういうつもりで人を繋ぐんですか!?」
「本当に気付いてないのかい? 鈍いのか、それとも、気付かないくらいその能力が強いのか……」
呟くように考えながら、クレイグ殿下が近づいてくる。
でも、私には何の話かわからない。
「……何の話ですか? 私には、何の能力もありませんよ。私は、魔法使いでも何でもないのです」
「自覚が無いほどの能力のおかげで、フィルベルド様にさえ気付かれなかったねぇ。おかげで、私が先に手に入れることができたのは幸運だった」
「ですから、何の話ですか……無理やり、私を連れて来るほど女性に困っているんですか?」
「ハッキリ言って、女性には困ってない。だが、君の代わりは誰一人としていないよ」
私の何に興味があるのかわからない。
ただ、女性に困ってないなら私を無理やり後宮に連れてこないで欲しいと思い、鎖をジャラリと垂れるようにしっかりと持った。
そして、目の前のクレイグ殿下に振り下ろし、鈍い音がして床を叩きつけるようになった。
「避けましたね」
「当たり前だ。君は、どういう性格をしているんだい? 鎖で私を攻撃しようとする女性なんて今までにいないんだが……」
「だったら、近づかないでください。それに、今すぐにフィルベルド様のところに帰してください!」
「フィルベルドのところには、帰さないよ。フィルベルドは、君の価値に全く気付いてなかったしね……とにかく、その鎖を下ろしてくれないかい? 君の武器のためじゃないんだよ」
繋がれた鎖に勢いをつけるために、ヒュンヒュンと回しながらクレイグ殿下と間合いを取る。
「鎖を外してくれないなら、これで殴りますよ」
「どうせ当たらないよ。とにかく、鎖を振り回すのは止めてくれないかい」
「出してくれないなら、止めませんよ」
「そう……」
「……キャアァッ!?」
クレイグ殿下が手をかざすと、風が突風のように一線を捕らえて、鎖がジャラララッと音を立て、私の身体ごと後ろに引っ張られた。
そのまま、私はバランスを崩して豪快に倒れた。
「……っ……痛い……」
床に転んだ身体を少し起こすと、目の前にはクレイグ殿下がしゃがみ込んでいる。
クレイグ殿下の手で下顎を上げられるとビクッとする。そんな私の眼を彼はジッと見ている。
「震えていたとは意外だね。ディアナは、神経が図太いと思ったんだが……」
「触らないでください……それに、理由もわからずに、無理やりこんなところに連れて来られたら怖いに決まってます。それに、早く帰らないとフィルベルド様が心配します」
「そう……でも、フィルベルドは、今頃他の女といるかもしれないよ? それでも帰りたいのかい?」
一瞬言葉に詰まった。
フィルベルド様は、私を最愛だと言ったけど、他の女性と逢引きしていたのも事実。
今だって、迎えに来てくれない。
でも、なにかあれば私を助けてくださる、と言っていた。
フィルベルド様からすれば、たわいない一言かもしれないが違うかもしれない。
何もわからずに、不安と悲しい気持ちが押し寄せている。
「悲しそうな顔をするね……連れて来た理由を教えてもいいけど、フィルベルドが来ないと余計に確信するかもしれないよ」
「どのみち、フィルベルド様が来るかどうかは、来て下さらないとわかりませんから……理由ぐらいは教えてください」
理由もわからず、ここにいることは不安しかない。
「……君のその眼だよ。ディアナには『真実の瞳』という遺物が取り込まれているんだよ。気づいてなかったんだろう?」
そして、意識が亡くなる前のリンディス伯爵家の出来事を思い出した。
「イクセル!? イクセルは!?」
ハッとして慌てて起き上がると、ジャリッと鈍い音がして、足を見ると足枷に鎖が繋がっていた。
「なんで!? 靴は!?」
裸足のままベッドの下におり、鎖を持つと長さが長いことがわかる。
そのまま、鎖を持って部屋の扉の前に行くと、鎖はそこまでの長さがあるとわかる。
でも、今の私にいつもの冷静さはなかった。
扉をガタガタと開けようとしても開かないし、開いても鎖に繋がれているから部屋からも出られない。窓からでても同じだ。鎖でぶら下がるだけになってしまう。
それを考えると怖くて、窓からは出られない。
この鎖はどうやって切るの!?
そもそも、どうして私が繋がれているのよ!!
鎖を持ったまま、部屋の中を落ち着かない様子で歩き回ると、扉の鍵がカチャンと開く音がして扉を見た。
「あぁ……目が覚めたんだね」
「クレイグ殿下!?」
部屋に入って来たのはクレイグ殿下。
そうだ……私は、この人に捕まったんだ……なんで!?
「クレイグ殿下! これはなんのつもりですか! それに、イクセルをどうしたんですか!?」
「イクセルは大丈夫だよ。倒れていたけど致命傷なんかないし、すぐに誰かが手当てをするんじゃないかな」
いつもの飄々とした様子で話すクレイグ殿下がそう言いながら近づいてくる。
「鎖を解いてください」
「解くと逃げられるだろう」
その瞬間、持っていた鎖を振りクレイグ殿下を攻撃したが、魔法で壁を作られてしまい鎖は軽く弾かれてしまう。
「君は何をするんだい?」
「それは、こっちのセリフです! どういうつもりで人を繋ぐんですか!?」
「本当に気付いてないのかい? 鈍いのか、それとも、気付かないくらいその能力が強いのか……」
呟くように考えながら、クレイグ殿下が近づいてくる。
でも、私には何の話かわからない。
「……何の話ですか? 私には、何の能力もありませんよ。私は、魔法使いでも何でもないのです」
「自覚が無いほどの能力のおかげで、フィルベルド様にさえ気付かれなかったねぇ。おかげで、私が先に手に入れることができたのは幸運だった」
「ですから、何の話ですか……無理やり、私を連れて来るほど女性に困っているんですか?」
「ハッキリ言って、女性には困ってない。だが、君の代わりは誰一人としていないよ」
私の何に興味があるのかわからない。
ただ、女性に困ってないなら私を無理やり後宮に連れてこないで欲しいと思い、鎖をジャラリと垂れるようにしっかりと持った。
そして、目の前のクレイグ殿下に振り下ろし、鈍い音がして床を叩きつけるようになった。
「避けましたね」
「当たり前だ。君は、どういう性格をしているんだい? 鎖で私を攻撃しようとする女性なんて今までにいないんだが……」
「だったら、近づかないでください。それに、今すぐにフィルベルド様のところに帰してください!」
「フィルベルドのところには、帰さないよ。フィルベルドは、君の価値に全く気付いてなかったしね……とにかく、その鎖を下ろしてくれないかい? 君の武器のためじゃないんだよ」
繋がれた鎖に勢いをつけるために、ヒュンヒュンと回しながらクレイグ殿下と間合いを取る。
「鎖を外してくれないなら、これで殴りますよ」
「どうせ当たらないよ。とにかく、鎖を振り回すのは止めてくれないかい」
「出してくれないなら、止めませんよ」
「そう……」
「……キャアァッ!?」
クレイグ殿下が手をかざすと、風が突風のように一線を捕らえて、鎖がジャラララッと音を立て、私の身体ごと後ろに引っ張られた。
そのまま、私はバランスを崩して豪快に倒れた。
「……っ……痛い……」
床に転んだ身体を少し起こすと、目の前にはクレイグ殿下がしゃがみ込んでいる。
クレイグ殿下の手で下顎を上げられるとビクッとする。そんな私の眼を彼はジッと見ている。
「震えていたとは意外だね。ディアナは、神経が図太いと思ったんだが……」
「触らないでください……それに、理由もわからずに、無理やりこんなところに連れて来られたら怖いに決まってます。それに、早く帰らないとフィルベルド様が心配します」
「そう……でも、フィルベルドは、今頃他の女といるかもしれないよ? それでも帰りたいのかい?」
一瞬言葉に詰まった。
フィルベルド様は、私を最愛だと言ったけど、他の女性と逢引きしていたのも事実。
今だって、迎えに来てくれない。
でも、なにかあれば私を助けてくださる、と言っていた。
フィルベルド様からすれば、たわいない一言かもしれないが違うかもしれない。
何もわからずに、不安と悲しい気持ちが押し寄せている。
「悲しそうな顔をするね……連れて来た理由を教えてもいいけど、フィルベルドが来ないと余計に確信するかもしれないよ」
「どのみち、フィルベルド様が来るかどうかは、来て下さらないとわかりませんから……理由ぐらいは教えてください」
理由もわからず、ここにいることは不安しかない。
「……君のその眼だよ。ディアナには『真実の瞳』という遺物が取り込まれているんだよ。気づいてなかったんだろう?」