白い結婚なので離縁を決意したら、夫との溺愛生活に突入していました。いつから夫の最愛の人になったのかわかりません!
夢のようらしい……むしろ夢だといい
お城の一室で、私は柔らかいソファーに座っている。隣には、見目麗しいフィルベルド様が頬杖をついて私を凝視している。
何故私は、こんなところにいるんだろう……何度考えてもわからない。
離縁を決意して、屋敷が全焼したら夫が現れた。正確には、夫が誰か判明したのだが……。
離縁を決意してからの屋敷全焼の繋がりが全くわからない。
どうしてこんなことに……。
「ディアナ」
「はい」
不意に呼ばれて、返事をしながら彼を見る。
「新しい屋敷は近いうちに準備しよう。それまでは、どこに住みたい? なにか希望があればなんでも聞こう」
「……家は友人の持っている家を借りていますので、私はそちらで住みます」
「家を借りている? どうしてだ?」
公爵夫人が、隠れて仕事をしているなんて、夫であるフィルベルド様は良く思わないだろう。
「……フィルベルド様は、お仕事ですよね? 私はそろそろ帰りますから……でも、また明日お会いできますか?」
今は、離縁状を持って来て無いし、私を探してくれてたみたいだから、ちょっと話しにくい。
でも、離縁の話はしないといけない。彼に恋人がいるなら、尚更早く別れるべきだろう。
「やっと帰って来たんだ……これからはずっと一緒に暮らせる。そのためには、屋敷を準備しなければならん。火事の詳細も調べねばならんし……今日は仕事が終わるまで、ここにいてくれないか?」
「ここはお城ですよ」
「問題ない。俺のまとめている第二騎士団は、主に殿下の護衛が仕事だ。第二騎士団の屯所はこの城にあるから、この部屋にいてもかまわない」
それは、職権乱用では?しかも……
「まとめている?」
「父上から、聞いて無かったか? 今は、第二騎士団の団長を勤めているんだ」
お義父様であるアクスウィス公爵様が、「フィルベルドが、出世したようだ。これでますます帰られんかもしれんな。せっかく結婚したのに、すまないな」と確かに言っていた気はする。
でも、フィルベルド様は、初めてお会いした時に『一緒に住めない』と言っていたから気にもしなかった。「出世して良かったです」とお義父様に言って、それにお義父様は誇らしく笑っていた気がする。
それが、こんなに出世していたとは……。
自分の夫が、次期公爵様で騎士団の団長の1人を務めているとは予想もしなかった。
離縁を考えている夫が誇らしすぎる。しかも、その上この誰もが目を引く顔だ。
私とは、釣り合いが取れなさすぎる。
「今夜は、城に泊まろうかと思うんだが、ディアナが気に入らないなら、どこか宿でも手配しよう」
「や、宿? 大丈夫です! 私には借家がありますから……フィルベルド様は、お気になさらず、また明日どこかでお会いしましょう!」
一瞬ムッとしたかと思うと、フィルベルド様の手が私の頬に伸びる。それに思わずびくりとした。
「……っ!!」
「もう離れて暮らす理由はない……毎日ディアナといたいんだ」
この人は一体誰だろうか……こんなに、切ない視線を向けられる理由がわからない。
____逃げたい!!
「それに借家はどこだ? ディアナがそこが良いなら、そこに2人で住もう」
「……っええ!? それは、ちょっと……すごく狭いので……」
知られたくない。あの家に来られたら、こっそりと仕事をしていたことがバレる。
それは不味い。とにかく不味い。
「そうだな……ずっと離れていたから、いきなりでは困るか……安心しなさい。無理にはしない。ディアナの気持ちが一番だ」
「あ、ありがとうございます……」
一体何に納得したのかわからないけど、押しかけてくることは無いだろうと思う。多分。
「では、今夜は宿を取ろう。すぐに手配するから、それまではここで待っていてくれるか?」
ソファーの背もたれにフィルベルド様の腕が伸び、それだけで緊張して身体がビクッとする。そして、腕が伸びてきた先を見ると、フィルベルド様の熱視線が恥ずかしすぎて赤くなりそうな顔を隠すように、ソファーから立ち上がった。
「フィルベルド様は、お仕事ですよね?」
「そうだが……心配しなくていい。ここなら、すぐに様子を見に来られるし、この部屋で出来る仕事は、持って来させる」
恐ろしいことを、満面の笑みで言い出した。
すぐに様子を見に来るって……それは、フィルベルド様の監視付きでこの部屋になにもせずにいろと!?
この見たこともないフィルベルド様に動揺している私には、彼の監視付きでいることは、拷問に近いとさえ思う。
____何度も思うが逃げたい。
____離縁状をすぐに取りに帰りたい。
離縁状はまたにしても、とにかくこの部屋から出たい。
そして、フィルベルド様も立ち上がり、私の手を包むように取った。
「ディアナと今夜から一緒なんて夢のようだ……」
むしろ、夢だといい。一度しかお会いしたことないけど、私の知っているフィルベルド様じゃない。
しかも、女性と腕を絡めていたのに……。
私を見つめるフィルベルド様の隣にいるのは、そろそろ限界だった。
何故私は、こんなところにいるんだろう……何度考えてもわからない。
離縁を決意して、屋敷が全焼したら夫が現れた。正確には、夫が誰か判明したのだが……。
離縁を決意してからの屋敷全焼の繋がりが全くわからない。
どうしてこんなことに……。
「ディアナ」
「はい」
不意に呼ばれて、返事をしながら彼を見る。
「新しい屋敷は近いうちに準備しよう。それまでは、どこに住みたい? なにか希望があればなんでも聞こう」
「……家は友人の持っている家を借りていますので、私はそちらで住みます」
「家を借りている? どうしてだ?」
公爵夫人が、隠れて仕事をしているなんて、夫であるフィルベルド様は良く思わないだろう。
「……フィルベルド様は、お仕事ですよね? 私はそろそろ帰りますから……でも、また明日お会いできますか?」
今は、離縁状を持って来て無いし、私を探してくれてたみたいだから、ちょっと話しにくい。
でも、離縁の話はしないといけない。彼に恋人がいるなら、尚更早く別れるべきだろう。
「やっと帰って来たんだ……これからはずっと一緒に暮らせる。そのためには、屋敷を準備しなければならん。火事の詳細も調べねばならんし……今日は仕事が終わるまで、ここにいてくれないか?」
「ここはお城ですよ」
「問題ない。俺のまとめている第二騎士団は、主に殿下の護衛が仕事だ。第二騎士団の屯所はこの城にあるから、この部屋にいてもかまわない」
それは、職権乱用では?しかも……
「まとめている?」
「父上から、聞いて無かったか? 今は、第二騎士団の団長を勤めているんだ」
お義父様であるアクスウィス公爵様が、「フィルベルドが、出世したようだ。これでますます帰られんかもしれんな。せっかく結婚したのに、すまないな」と確かに言っていた気はする。
でも、フィルベルド様は、初めてお会いした時に『一緒に住めない』と言っていたから気にもしなかった。「出世して良かったです」とお義父様に言って、それにお義父様は誇らしく笑っていた気がする。
それが、こんなに出世していたとは……。
自分の夫が、次期公爵様で騎士団の団長の1人を務めているとは予想もしなかった。
離縁を考えている夫が誇らしすぎる。しかも、その上この誰もが目を引く顔だ。
私とは、釣り合いが取れなさすぎる。
「今夜は、城に泊まろうかと思うんだが、ディアナが気に入らないなら、どこか宿でも手配しよう」
「や、宿? 大丈夫です! 私には借家がありますから……フィルベルド様は、お気になさらず、また明日どこかでお会いしましょう!」
一瞬ムッとしたかと思うと、フィルベルド様の手が私の頬に伸びる。それに思わずびくりとした。
「……っ!!」
「もう離れて暮らす理由はない……毎日ディアナといたいんだ」
この人は一体誰だろうか……こんなに、切ない視線を向けられる理由がわからない。
____逃げたい!!
「それに借家はどこだ? ディアナがそこが良いなら、そこに2人で住もう」
「……っええ!? それは、ちょっと……すごく狭いので……」
知られたくない。あの家に来られたら、こっそりと仕事をしていたことがバレる。
それは不味い。とにかく不味い。
「そうだな……ずっと離れていたから、いきなりでは困るか……安心しなさい。無理にはしない。ディアナの気持ちが一番だ」
「あ、ありがとうございます……」
一体何に納得したのかわからないけど、押しかけてくることは無いだろうと思う。多分。
「では、今夜は宿を取ろう。すぐに手配するから、それまではここで待っていてくれるか?」
ソファーの背もたれにフィルベルド様の腕が伸び、それだけで緊張して身体がビクッとする。そして、腕が伸びてきた先を見ると、フィルベルド様の熱視線が恥ずかしすぎて赤くなりそうな顔を隠すように、ソファーから立ち上がった。
「フィルベルド様は、お仕事ですよね?」
「そうだが……心配しなくていい。ここなら、すぐに様子を見に来られるし、この部屋で出来る仕事は、持って来させる」
恐ろしいことを、満面の笑みで言い出した。
すぐに様子を見に来るって……それは、フィルベルド様の監視付きでこの部屋になにもせずにいろと!?
この見たこともないフィルベルド様に動揺している私には、彼の監視付きでいることは、拷問に近いとさえ思う。
____何度も思うが逃げたい。
____離縁状をすぐに取りに帰りたい。
離縁状はまたにしても、とにかくこの部屋から出たい。
そして、フィルベルド様も立ち上がり、私の手を包むように取った。
「ディアナと今夜から一緒なんて夢のようだ……」
むしろ、夢だといい。一度しかお会いしたことないけど、私の知っているフィルベルド様じゃない。
しかも、女性と腕を絡めていたのに……。
私を見つめるフィルベルド様の隣にいるのは、そろそろ限界だった。