秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
(優しくて素敵な、世界一のパパだよね)
 おなかの子に呼びかけると、『知ってるよ』とでも言うようにポンという反応が返ってくる。

 ふたりで作った健康的な夕食を食べながら、志弦は言う。
「明日の夜は、初めてのデートで泊まったホテルのレストランで食事をしないか? カロリー控えめにしてもらうよう頼むから」
「あのホテルで?」
 初めてのデートは強行スケジュールだったので、ホテル内でのディナーは楽しんでいない。雰囲気のいい素敵なレストランが入っていたはずだ。
「あぁ。もう予定日も近いだろ? 子どもに会えるのはもちろん楽しみだけど、清香とふたりだけの思い出も作りたいなと思って。どう?」
「うれしいです! もうカロリーは忘れて、おなかいっぱい食べちゃおうかな」
「じゃあ、予約しておくから」
 幸せいっぱいに、ふたりはほほ笑み合う。

 翌日。清香はリゾートらしいのミントカラーのサマードレスに身を包み、いつもよりちょっと気合いの入ったメイクを施した。ヘアスタイルは編み込みのハーフアップだ。

 志弦は初夏らしいライトグレーのスーツに爽やかなロイヤルブルーのタイを締めている。あまりにもかっこよくて、ついつい見とれてしまう。
「志弦さん、本当にスーツが似合いますよね。すごく素敵です!」
 興奮気味に褒めると、倍になって返ってきた。
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