秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
「清香もそのドレス、よく似合うよ。振り袖も上品でよかったな。あぁ、でも――」
志弦は懐かしむように、ふっと頬を緩める。
「俺が一番好きなのは、美術館で働いていたときのスーツ姿かも」
「スーツの似合う女性が好きなんですか?」
新事実に驚くと同時に、ちょっと不安を覚える。
(キリっとした女性が好みなのかな? 私、そういうタイプではない気がするけど)
学芸員として仕事をしていた頃はブラックスーツが定番だったけれど、似合っていたかと言われると自信はない。
「いや、スーツが好きなわけではなくて……展示品を扱うときの真剣な顔とか、お客さんに一生懸命説明しているところとか」
志弦は続ける。
「尾野美術館に通うようになった頃の俺は、仕事に情熱を失いかけていて……」
源蔵が亡くなり、一族が権力争いでゴタゴタして疲れきっていたのだと志弦は教えてくれる。
「清香に出会って、生き生きと働く君を見て、やる気を取り戻せた。堂々と清香に告白できる男になりたいと思ったんだ」
「え、え~。私、そんな大層な人間じゃ……」
照れまくる清香の顔を、志弦がのぞき込む。
「特別だよ。俺にとっての清香は」
はにかみながら、清香は感謝の気持ちを彼に伝える。
「そんなふうに言ってもらえて、うれしいです。志弦さんといると、物語のヒロインになったみたい。ずっと、そういう華やかな役どころとは縁遠いタイプだったのに……」
志弦は懐かしむように、ふっと頬を緩める。
「俺が一番好きなのは、美術館で働いていたときのスーツ姿かも」
「スーツの似合う女性が好きなんですか?」
新事実に驚くと同時に、ちょっと不安を覚える。
(キリっとした女性が好みなのかな? 私、そういうタイプではない気がするけど)
学芸員として仕事をしていた頃はブラックスーツが定番だったけれど、似合っていたかと言われると自信はない。
「いや、スーツが好きなわけではなくて……展示品を扱うときの真剣な顔とか、お客さんに一生懸命説明しているところとか」
志弦は続ける。
「尾野美術館に通うようになった頃の俺は、仕事に情熱を失いかけていて……」
源蔵が亡くなり、一族が権力争いでゴタゴタして疲れきっていたのだと志弦は教えてくれる。
「清香に出会って、生き生きと働く君を見て、やる気を取り戻せた。堂々と清香に告白できる男になりたいと思ったんだ」
「え、え~。私、そんな大層な人間じゃ……」
照れまくる清香の顔を、志弦がのぞき込む。
「特別だよ。俺にとっての清香は」
はにかみながら、清香は感謝の気持ちを彼に伝える。
「そんなふうに言ってもらえて、うれしいです。志弦さんといると、物語のヒロインになったみたい。ずっと、そういう華やかな役どころとは縁遠いタイプだったのに……」