秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
志弦は意外なほどの独占欲を見せる。でも、ちっとも不快ではなくて、むしろ胸が甘く疼いて、頬が緩んでしまう。
その瞬間だった、清香は下半身に未知の違和感を覚えて、ぴたりと足を止めた。
「どうかしたか?」
「あ……その、もしかしたら……破水したかもです」
志弦が目を見はった。
「えぇ?」
「あれ、でも違うのかな。初めてなので、よくわからなくて」
陣痛ではなく破水から始まる出産もあると産院から説明を受けてはいるものの、経験がないのでこれが破水との確信も持てない。
「とりあえずこのまま病院に行こう。歩けるか?」
産院に着いたら、あっさりと『破水ですね』と言われて、そのまま入院することになった。すぐに陣痛も始まり……そこから十時間後、清香は無事に元気な女の子を出産した。
予定日のちょうど二週間前。もういつ産まれてもおかしくないのだと頭では理解していたつもりだったけれど……。
「こんなに早くその日が来るとは! びっくりでした」
「同感だ。間違いなく、人生で一番パニックになったよ」
ふたりは顔を見合わせて、笑う。
腕のなかの赤ちゃんは、予定日より早い誕生だったので少し小さめだけれど、産声はとても力強かった。
「碧乃。生まれてきてくれて、ありがとう」
志弦が娘に呼びかける。思い出の地にちなんだ名前を、ふたりは愛する娘につけた。
その瞬間だった、清香は下半身に未知の違和感を覚えて、ぴたりと足を止めた。
「どうかしたか?」
「あ……その、もしかしたら……破水したかもです」
志弦が目を見はった。
「えぇ?」
「あれ、でも違うのかな。初めてなので、よくわからなくて」
陣痛ではなく破水から始まる出産もあると産院から説明を受けてはいるものの、経験がないのでこれが破水との確信も持てない。
「とりあえずこのまま病院に行こう。歩けるか?」
産院に着いたら、あっさりと『破水ですね』と言われて、そのまま入院することになった。すぐに陣痛も始まり……そこから十時間後、清香は無事に元気な女の子を出産した。
予定日のちょうど二週間前。もういつ産まれてもおかしくないのだと頭では理解していたつもりだったけれど……。
「こんなに早くその日が来るとは! びっくりでした」
「同感だ。間違いなく、人生で一番パニックになったよ」
ふたりは顔を見合わせて、笑う。
腕のなかの赤ちゃんは、予定日より早い誕生だったので少し小さめだけれど、産声はとても力強かった。
「碧乃。生まれてきてくれて、ありがとう」
志弦が娘に呼びかける。思い出の地にちなんだ名前を、ふたりは愛する娘につけた。