秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
「でも、元気そうでよかった~。あ、この子が碧乃ちゃん? きゃ~かわいい!」
志弦の腕に抱かれた碧乃に、千佳はおもしろい顔をして見せる。彼女の気持ちが伝わったのか、碧乃がふにゃりと顔をほころばせた。
「あ~。今、碧乃ちゃん笑ったよね? ね?」
「騒ぎすぎですよ、千佳さん」
あきれたような声の主はもちろん、駒子だ。彼女の腕に抱かれたウタは……たしかに以前よりポッチャリしている。清香を覚えてくれていたようで、ピョンと駒子の腕から飛び出して清香の足元にじゃれつく。
(よかった、かわいがってもらってたのね)
ピンと背筋を伸ばした駒子が清香に向き直る。
「おかえりなさいませ、奥さま。お嬢さま」
「……駒子さん」
以前と変わらない駒子の姿にほっとして、清香は思わず涙ぐむ。
「ごめんなさい。私、駒子さんにも千佳さんにも迷惑をかけるばかりで」
清香のせいで、ふたりは一時この屋敷を追い出されていたのだ。涼花による遺言書偽造があきらかになったあとで、志弦がすぐに呼び戻したそうだが。
駒子はなんでもないことのように、笑ってみせる。
「ちょうどいい休暇をいただけて、感謝しているくらいです。それより――」
駒子は清香の背中をトントンと叩く。
「清香さんは大河内家の女主人なんですからね。シャンとしてください、シャンと!」
「は、はい!」
そんなふたりに、千佳が明るく声をかける。
志弦の腕に抱かれた碧乃に、千佳はおもしろい顔をして見せる。彼女の気持ちが伝わったのか、碧乃がふにゃりと顔をほころばせた。
「あ~。今、碧乃ちゃん笑ったよね? ね?」
「騒ぎすぎですよ、千佳さん」
あきれたような声の主はもちろん、駒子だ。彼女の腕に抱かれたウタは……たしかに以前よりポッチャリしている。清香を覚えてくれていたようで、ピョンと駒子の腕から飛び出して清香の足元にじゃれつく。
(よかった、かわいがってもらってたのね)
ピンと背筋を伸ばした駒子が清香に向き直る。
「おかえりなさいませ、奥さま。お嬢さま」
「……駒子さん」
以前と変わらない駒子の姿にほっとして、清香は思わず涙ぐむ。
「ごめんなさい。私、駒子さんにも千佳さんにも迷惑をかけるばかりで」
清香のせいで、ふたりは一時この屋敷を追い出されていたのだ。涼花による遺言書偽造があきらかになったあとで、志弦がすぐに呼び戻したそうだが。
駒子はなんでもないことのように、笑ってみせる。
「ちょうどいい休暇をいただけて、感謝しているくらいです。それより――」
駒子は清香の背中をトントンと叩く。
「清香さんは大河内家の女主人なんですからね。シャンとしてください、シャンと!」
「は、はい!」
そんなふたりに、千佳が明るく声をかける。