秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
ちょっとムキになって否定したのは、彼の指摘が決して的外れではないからだろう。好みの作品を前にすると、すぐに時間を忘れてしまう清香の性を、志弦はもう十分に理解している。
(今回はひとり旅じゃないんだし、自分ばっかり楽しまないように気をつけないと!)
「婚約指輪を探す目的も忘れないでくれよ」
「あ、そうでした」
「もう忘れてるじゃないか」
志弦の優しい笑顔に胸が弾む。碧乃が生まれて一年。清香は慣れない育児に奔走していたし、志弦は大河内グループの代表として仕事に忙殺されていた。実は家族三人での旅行は今回が初めてなのだ。
「碧乃の初旅行だから、楽しい思い出にしたいですね」
「そうだな。碧乃はどこに行きたい?」
志弦が声をかけると、肩の上で彼女が元気な声をあげる。
「え、あっち? ヘイワード・ギャラリーかな?」
清香が言うと、志弦がクスクスを笑う。
「君は本当に美術館しか頭にないんだな。あっちならロンドンアイもあるぞ」
ロンドンアイはこの街のシンボルともいえる大観覧車で、観光客にも人気のスポットだ。
「観覧車なら碧乃も乗れますね!」
「ガラス張りだから、もしかしたら怖がるかも」
「へぇ、ガラス張りになってるんですね」
(今回はひとり旅じゃないんだし、自分ばっかり楽しまないように気をつけないと!)
「婚約指輪を探す目的も忘れないでくれよ」
「あ、そうでした」
「もう忘れてるじゃないか」
志弦の優しい笑顔に胸が弾む。碧乃が生まれて一年。清香は慣れない育児に奔走していたし、志弦は大河内グループの代表として仕事に忙殺されていた。実は家族三人での旅行は今回が初めてなのだ。
「碧乃の初旅行だから、楽しい思い出にしたいですね」
「そうだな。碧乃はどこに行きたい?」
志弦が声をかけると、肩の上で彼女が元気な声をあげる。
「え、あっち? ヘイワード・ギャラリーかな?」
清香が言うと、志弦がクスクスを笑う。
「君は本当に美術館しか頭にないんだな。あっちならロンドンアイもあるぞ」
ロンドンアイはこの街のシンボルともいえる大観覧車で、観光客にも人気のスポットだ。
「観覧車なら碧乃も乗れますね!」
「ガラス張りだから、もしかしたら怖がるかも」
「へぇ、ガラス張りになってるんですね」