秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
二章 醒めない夢に溺れさせて
約束の十五分も前に美術館に着いたけれど、彼のほうが早かった。
シルバーグレーの高級そうなセダンに背中を預けるようにして彼は立っていた。ライトブルーのシャツに紺のジャケット、下は明るめのベージュのパンツだ。
清香に気がつくと、彼は片手をあげてみせた。
「ごめんなさい、お待たせしてしまいましたか?」
「いや、俺もさっき着いたばかりだ」
彼と待ち合わせをして、会話をしている。その事実がなんだか信じられなくて、パチパチと目を瞬いた。まばたきをしても、彼はたしかに目の前にいる。
(夢じゃないんだ)
「どうかした?」
「いえ、からかわれたわけじゃなかったんだなぁと。あの、今日は来てくれて本当にありがとうございます」
ふんわりとほほ笑んで、深々と頭をさげる。彼がほほ笑み返してくれたのを気配で感じた。
「こんな、あきらかに初心そうなお嬢さんに意地悪するほど鬼畜にはなれないな」
助手席の扉を開けて、彼は清香をエスコートした。
「素性も知れない男の車に乗るのは怖いかもしれないけど、俺を信用できる?」
シルバーグレーの高級そうなセダンに背中を預けるようにして彼は立っていた。ライトブルーのシャツに紺のジャケット、下は明るめのベージュのパンツだ。
清香に気がつくと、彼は片手をあげてみせた。
「ごめんなさい、お待たせしてしまいましたか?」
「いや、俺もさっき着いたばかりだ」
彼と待ち合わせをして、会話をしている。その事実がなんだか信じられなくて、パチパチと目を瞬いた。まばたきをしても、彼はたしかに目の前にいる。
(夢じゃないんだ)
「どうかした?」
「いえ、からかわれたわけじゃなかったんだなぁと。あの、今日は来てくれて本当にありがとうございます」
ふんわりとほほ笑んで、深々と頭をさげる。彼がほほ笑み返してくれたのを気配で感じた。
「こんな、あきらかに初心そうなお嬢さんに意地悪するほど鬼畜にはなれないな」
助手席の扉を開けて、彼は清香をエスコートした。
「素性も知れない男の車に乗るのは怖いかもしれないけど、俺を信用できる?」