秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
本音を言えば、場所なんてどこでもよかった。この車から一歩も出なかったとしても、清香にとっては十分に幸せなデートだから。
「ホテル」
短い返答に、心臓が大きく跳ねた。指先がかすかに震え出す。
(そういう誘いだと思われて当然だよね。私だって、期待してなかったわけじゃないし。あぁ、でも本当に大丈夫かな? キスもしたことない私が?)
次から次へと浮かんでくる疑問に答えは出ない。
清香がよっぽどおかしな顔をしていたのだろう。彼はぷっと噴き出して、白い歯を見せた。
「ホテルに向かってる。しかも、すごく遠くのね」
「え?」
「明日は仕事?」
目的地の検討はさっぱりつかないものの、問われたことに素直に答える。
「はい。でも、明日は夜に企画展の設営があるので、出勤は昼の三時過ぎです」
「あぁ、それは好都合だ。少しゆっくり楽しめるかも」
すごく遠く。明日の出勤時間を気にするほどの場所、ということだろうか。
場所はどこでも構わないと思っていたが、さすがに気になる。それを察したのか、彼はようやく答えを教えてくれた。
「碧美島に行こうかと思ってる。もちろん問題があれば変更するけど」
「あおみ、しま……」
すぐにはピンとこなかった。あまりにも想定外だったから。
「そう。アートの島。君なら喜んでくれるかと思って」
「ホテル」
短い返答に、心臓が大きく跳ねた。指先がかすかに震え出す。
(そういう誘いだと思われて当然だよね。私だって、期待してなかったわけじゃないし。あぁ、でも本当に大丈夫かな? キスもしたことない私が?)
次から次へと浮かんでくる疑問に答えは出ない。
清香がよっぽどおかしな顔をしていたのだろう。彼はぷっと噴き出して、白い歯を見せた。
「ホテルに向かってる。しかも、すごく遠くのね」
「え?」
「明日は仕事?」
目的地の検討はさっぱりつかないものの、問われたことに素直に答える。
「はい。でも、明日は夜に企画展の設営があるので、出勤は昼の三時過ぎです」
「あぁ、それは好都合だ。少しゆっくり楽しめるかも」
すごく遠く。明日の出勤時間を気にするほどの場所、ということだろうか。
場所はどこでも構わないと思っていたが、さすがに気になる。それを察したのか、彼はようやく答えを教えてくれた。
「碧美島に行こうかと思ってる。もちろん問題があれば変更するけど」
「あおみ、しま……」
すぐにはピンとこなかった。あまりにも想定外だったから。
「そう。アートの島。君なら喜んでくれるかと思って」