秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
「はい。なにかありましたか?」
「花瓶の花の交換に来ました」
清香は障子扉を開けて、彼女を迎える。
今日もカットソーにアイボリーのパンツというカジュアルなファッションで、新聞紙に包んだ花束を抱えていた。カトレアをメインにした秋らしいアレンジだ。
彼女は通いのお手伝いさんで、ここに住んでいるわけではない。大河内家の人間という雰囲気が薄いので、清香も彼女の前では緊張をとくことができた。
千佳は床の間の前に正座し、信楽焼きの大きな花瓶の花を交換する。
「カトレアって結構香りが強いですよね。苦手じゃないですか?」
手際よく作業を済ませると、振り返って清香に尋ねる。
「いいえ。自然な花の香りは大好きです」
清香はほほ笑み、首を横に振った。香水などの人工的なものは得意ではないが、花は大好きだ。榛名画廊も、伯父がオーナーだった頃は季節の花々の香りに満ちていた。
「駒子さん、怖くない?」
千佳は砕けた口調で言って、いたずらっぽく瞳を輝かせた。
「私も初めてお会いしたときは怖くて怖くて、すぐに次の仕事を探さなきゃって思ったから」
清香も頬を緩めて、話にのる。
「全然笑わないですよね。普段からあんな感じですか?」
「うん、そうなの。ここに勤めてもう四年経つけど、駒子さんの笑顔は見たことないわ」
どうやら、清香にだけ特別に冷たいわけではないようだ。千佳は目を細めて続ける。
「花瓶の花の交換に来ました」
清香は障子扉を開けて、彼女を迎える。
今日もカットソーにアイボリーのパンツというカジュアルなファッションで、新聞紙に包んだ花束を抱えていた。カトレアをメインにした秋らしいアレンジだ。
彼女は通いのお手伝いさんで、ここに住んでいるわけではない。大河内家の人間という雰囲気が薄いので、清香も彼女の前では緊張をとくことができた。
千佳は床の間の前に正座し、信楽焼きの大きな花瓶の花を交換する。
「カトレアって結構香りが強いですよね。苦手じゃないですか?」
手際よく作業を済ませると、振り返って清香に尋ねる。
「いいえ。自然な花の香りは大好きです」
清香はほほ笑み、首を横に振った。香水などの人工的なものは得意ではないが、花は大好きだ。榛名画廊も、伯父がオーナーだった頃は季節の花々の香りに満ちていた。
「駒子さん、怖くない?」
千佳は砕けた口調で言って、いたずらっぽく瞳を輝かせた。
「私も初めてお会いしたときは怖くて怖くて、すぐに次の仕事を探さなきゃって思ったから」
清香も頬を緩めて、話にのる。
「全然笑わないですよね。普段からあんな感じですか?」
「うん、そうなの。ここに勤めてもう四年経つけど、駒子さんの笑顔は見たことないわ」
どうやら、清香にだけ特別に冷たいわけではないようだ。千佳は目を細めて続ける。