秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
振り返らなくてもわかる。志弦の声だった。彼は清香の背中ごしに子猫をのぞき込む。
「迷い猫か?」
彼に事情を説明する。
「はい。足を怪我していて歩けないみたいで。せめて手当てをと思ったのですが、駒子さんが今夜は留守なのでどうしようかと……」
静岡に住む妹さんが入院するので付き添いにと、今夜からふた晩、彼女は休暇を取っている。
「手当てくらい構わないだろう。それに、彼女はああ見えて動物好きだから……帰ってきたら喜ぶかもしれないぞ」
志弦は優しい手つきで子猫を抱きあげた。駒子と同じく、彼も動物好きのようだ。
「どこへ運ぶ?」
「とりあえず、私の部屋へお願いします」
大きめの段ボール箱にタオルを敷いて、簡易ベッドを作ってやった。志弦の持ってきた温めたミルクを、子猫はまるで毒見でもするような仕草でペロリと舐めた。
「名前をつけてやったらどうだ?」
子猫に目を細めながら、彼はそう提案した。
「私がですか?」
居候の自分よりは志弦がつけるべきではないかと思ったのだが、彼は当然というようにうなずく。
「君が助けた猫だから」
「えっと、それじゃあ……ウタはどうでしょうか?」
清香が言うと、彼は柔らかくほほ笑んだ。
「歌川国芳にちなんで?」
「はい!」
「迷い猫か?」
彼に事情を説明する。
「はい。足を怪我していて歩けないみたいで。せめて手当てをと思ったのですが、駒子さんが今夜は留守なのでどうしようかと……」
静岡に住む妹さんが入院するので付き添いにと、今夜からふた晩、彼女は休暇を取っている。
「手当てくらい構わないだろう。それに、彼女はああ見えて動物好きだから……帰ってきたら喜ぶかもしれないぞ」
志弦は優しい手つきで子猫を抱きあげた。駒子と同じく、彼も動物好きのようだ。
「どこへ運ぶ?」
「とりあえず、私の部屋へお願いします」
大きめの段ボール箱にタオルを敷いて、簡易ベッドを作ってやった。志弦の持ってきた温めたミルクを、子猫はまるで毒見でもするような仕草でペロリと舐めた。
「名前をつけてやったらどうだ?」
子猫に目を細めながら、彼はそう提案した。
「私がですか?」
居候の自分よりは志弦がつけるべきではないかと思ったのだが、彼は当然というようにうなずく。
「君が助けた猫だから」
「えっと、それじゃあ……ウタはどうでしょうか?」
清香が言うと、彼は柔らかくほほ笑んだ。
「歌川国芳にちなんで?」
「はい!」