秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
あいかわらず学生のようなノリだ。仕事はできるそうなのだが……新入社員に苦言を呈する管理職のような気持ちになりながら、話を切り出す。
「そろそろ本家に顔を出せないか? お前を待っている女性がいることは知っているだろう?」
鬱陶しいと言わんばかりの声が帰ってくる。
『あぁ。榛名清栄の孫? もう来てるんだ』
「彼女の名前は清香さんだ」
昴が清香を清栄の付属物のように呼んだことに、いら立ってしまう。
そもそも、先日の見合いも、またまた本家に来ていた昴がいきなり『面倒になったから行かない。適当に対応しといて』と言い出したのだ。清香をないがしろにしすぎだ。
通話口からこちらを小馬鹿にしたような笑い声が聞こえてくる。
『けどさ~、俺を待ってる女の子はあちこちに大勢いるんだよね。大体、見合いなんて形だけじゃん』
昴はうんざりしたようなため息を吐く。
『俺が相手をどう思おうと、どうせ結婚することになるんだろ。大河内家はいまだにとうにくたばったじいさんの言いなりだ』
奔放すぎる困った弟だが、彼の気持ちも多少は理解できる。大河内の跡継ぎの地位はあまりにも重い。その責任を彼に押しつけている自分には、昴をいさめる資格などないのかもしれない。
「それでも、一度くらいは……」
『わかった、わかった! 未来の奥さんに会いに近いうちには帰るよ』
「――頼む」
「そろそろ本家に顔を出せないか? お前を待っている女性がいることは知っているだろう?」
鬱陶しいと言わんばかりの声が帰ってくる。
『あぁ。榛名清栄の孫? もう来てるんだ』
「彼女の名前は清香さんだ」
昴が清香を清栄の付属物のように呼んだことに、いら立ってしまう。
そもそも、先日の見合いも、またまた本家に来ていた昴がいきなり『面倒になったから行かない。適当に対応しといて』と言い出したのだ。清香をないがしろにしすぎだ。
通話口からこちらを小馬鹿にしたような笑い声が聞こえてくる。
『けどさ~、俺を待ってる女の子はあちこちに大勢いるんだよね。大体、見合いなんて形だけじゃん』
昴はうんざりしたようなため息を吐く。
『俺が相手をどう思おうと、どうせ結婚することになるんだろ。大河内家はいまだにとうにくたばったじいさんの言いなりだ』
奔放すぎる困った弟だが、彼の気持ちも多少は理解できる。大河内の跡継ぎの地位はあまりにも重い。その責任を彼に押しつけている自分には、昴をいさめる資格などないのかもしれない。
「それでも、一度くらいは……」
『わかった、わかった! 未来の奥さんに会いに近いうちには帰るよ』
「――頼む」