秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
「おじいさまの遺言ってだけで、昴さん本人はもちろん、彼のご両親も望んでいないんだと思う」
でも彼らにも言い分はあるだろう。榛名画廊の惨状なんて調べればすぐにわかること。
(あきらかに金目当ての女が息子の嫁にって……賛成する親のほうがどうかしてるわ)
自分の両親と比べると、昴の両親がとてもまともに思える。
「それにしたってさ、顔を見てから断るなりなんなりすればいいじゃない! 不誠実すぎるよ。そんな男に清香は任せられない」
茉莉がずいっと身を乗り出すようにして顔を近づける。
「思いきって、そのお兄さんのほうと駆け落ちでもしちゃえば?」
志弦が同じ屋敷にいたことは説明したが、彼とどうこうなどという話はひと言もしていない。いくらなんでも、飛躍しすぎだ。
「なんで、そんな話になるのよ?」
「だって、清香は今も彼を思ってるでしょ」
「そ、そんなこと」
必死に否定しようとしたが、茉莉は迷いなく断言する。
「嘘ついても無駄。清香のことはよ~くわかってるもん。私と違って、一途で重い女なこともね」
「重いって……」
でも、たしかに否定できない。縁談相手の兄という、どうしたって許されない恋になってしまったにもかかわらず、清香は変わらず志弦が好きだ。いや、変わらずどころか深みにはまっている気さえする。
「正直に言うと、ほんの少し、少しだけ、志弦さんとうまくいくことを夢見たりはした」
でも彼らにも言い分はあるだろう。榛名画廊の惨状なんて調べればすぐにわかること。
(あきらかに金目当ての女が息子の嫁にって……賛成する親のほうがどうかしてるわ)
自分の両親と比べると、昴の両親がとてもまともに思える。
「それにしたってさ、顔を見てから断るなりなんなりすればいいじゃない! 不誠実すぎるよ。そんな男に清香は任せられない」
茉莉がずいっと身を乗り出すようにして顔を近づける。
「思いきって、そのお兄さんのほうと駆け落ちでもしちゃえば?」
志弦が同じ屋敷にいたことは説明したが、彼とどうこうなどという話はひと言もしていない。いくらなんでも、飛躍しすぎだ。
「なんで、そんな話になるのよ?」
「だって、清香は今も彼を思ってるでしょ」
「そ、そんなこと」
必死に否定しようとしたが、茉莉は迷いなく断言する。
「嘘ついても無駄。清香のことはよ~くわかってるもん。私と違って、一途で重い女なこともね」
「重いって……」
でも、たしかに否定できない。縁談相手の兄という、どうしたって許されない恋になってしまったにもかかわらず、清香は変わらず志弦が好きだ。いや、変わらずどころか深みにはまっている気さえする。
「正直に言うと、ほんの少し、少しだけ、志弦さんとうまくいくことを夢見たりはした」