ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハカタ

おまけの、テクニック!


 僕とボーくんは仕事もないし、毎日ヤマジュンパーフェクトで遊んでいた。

「うれしいこと言ってくれるじゃないの。それじゃとことんよろこばせてやるからな」
 それをわざわざイケボで言うから、僕は爆笑する。
「ちょっ!  ボー、やめろって。腹痛い!」
「やりますねぇ~」
「はははっ!」

 すると後ろにいたローリーさんが怒り出す。
「二人とも! もう、ここは職場だって言ってるでしょ!」

 だが、僕とボーくんはお構い無しに、名セリフで遊び出す。
「あのさ。ヤマジュンの読み上げを録音して、ニコニコにあげたら、面白いと思わない?」
「ああ、『精神障がい者がく●みそテクニック読んでみた』みたいな?」
「そうそう。そんな感じであげたら、おもしろいと思うんだよ」
「いいねぇ」
 僕と彼が結託しようとしていると、ローリーさんが怒る。

「二人ともダメですって! ここは職場ですよ!」
「え、でも、ローリーさんのニコニコ動画におすすめでサムネイルが出てきたら、クリックしませんか?」
 僕がそう言うと彼は苦笑する。
「お、押しちゃいますね」
「なら、やりましょうよ。ここで」
「ブラック過ぎる! ここは一応福祉事務所なんですよ! 俺が上の人に怒られますよ! やるなら、裏でコソコソやりましょう」
「えぇ、つまんない……」

 そんなこんなで、作業所はヤマジュンパーティーになった。

 僕はボーくんと毎日、博多に向かって。
「「イキスギィ~」」
 とか連呼して。

 金持ちの運営の幹部たちが来た時に、ヤマジュンを見せつけてやろうと、事務所の目立つ所に置いておいた。

 ある日、通所すると、その棚になくなっていた。
 僕は腹を立てて、ボーくんに叫ぶ。
「ボー! 目立つ所に置いとけったろ!」
「俺じゃないよ……」

 すると熟田さんが申し訳なそうに、僕に頭を下げる。
「すいません、味噌村さん。来賓の方が来たので、私が隠しました」
「あ、そうでしたか……」

 だが、また僕とボーくんは懲りずに、もっと目立つ入口あたりに置いておいた。
 その度に熟田さんが、あとで隠したとかどうとか……。
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