華に浪漫~夜伽のはずですが溺愛されています~
初めてこの家の中をじっくりと見た。
洋館と思っていたが、そうではないようだ。長く続く廊下や壁は洋風だったが、いくつかの部屋は和室だった。
和洋折衷というイメージだ。控え目に視線をやりながら食堂へ案内された。
そこには2人の女中がいた。

「おはようございます。つばき様ですね、京様から簡単にではございますがうかがっております。なつきと申します」
「お、おはようございます。つばきと申します」
「私は最近こちらで働かせてもらっております、雪と申します!」
「はい、よろしくお願いいたします…あの、私も何かお仕事を…」
「それはなりませんよ。京様からは女中の仕事をさせることは許さないと言いつけられておりますので」
「…そうですか」

みこが二人の女中の間からぴしゃりとそう言って会話は終了した。なつきはみこと同様に髪を簪で結っているが、雪の髪型は両サイドに軽くウェーブがかかっていてボブほどの髪の長さだった。
なつきは20代後半だろうか。雪はなつきよりも若く見えた。つばきと同じくらいの年齢ではないだろうかと推測した。
彼女たちを見ると、やはり緋色の目の話は伝わっていないようだ。

食事を済ませると、この屋敷の説明を受けた。外観は西洋館そのものだったが中は和を意識した空間も多くあった。
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