華に浪漫~夜伽のはずですが溺愛されています~
絡まる視線に言葉が詰まった。
「あ…っ」
「急に気分でも悪くなったか」
「いえ!違います。あ、あまりに私には不釣り合いな着物やワンピースですので…これは流石に着ることは出来ません」
「なんだ、そんなことか。俺が手配させたんだ、お前が着なければ捨てるだけになる」
「しかし…―」
「いいから、黙って言うことを聞け」
「…」
「お前にぴったりだと思ったんだ」
(どうしてだろう。この人の瞳に見つめられると途端に何も喋られなくなる。何も考えられなくなる…。私はどうかしてしまったの?)
京の手の温度がひんやりと冷たい。
煩い鼓動を抑えるようにゆっくりと深呼吸をしようとするが、まだ触れられている頬のせいでそれは収まるところか加速する。
「ありがとう…ございます」
「唇が震えている。俺に触れられるのは嫌か」
無意識に震えていたようだ。嫌ではない、だが、緊張しているのだ。
真一文字に唇を結び、首を振った。