華に浪漫~夜伽のはずですが溺愛されています~
「本当に呪い殺す力があるのであればもう俺は死んでいたっていいはずだ。他にもお前を監禁していた奴らだってそうだ。わざわざ逃げなくとも、全員をその目で呪い殺せばいいだけだ。そもそも今までその隙が全くなかったことも不思議だ。その目が人を呪い殺す力はないと俺は思っている」
つばきは何と言って説明したらよいか考えた。
確かにそのような力はない。京の言う通りだ。
(私には呪い殺す力はない。でも…未来を見る力はある)
本当のことを彼に言うという選択はなかった。
無言のつばきの態度は京の発言を“肯定”する。
「今は言わなくていい。ただ俺はそう思っているということをお前に伝えておく」
分かりました、と返す。
無理に聞き出そうとせずつばきに任せる姿勢に益々京の考えがわからないでいた。
まるで、大切にされているようだと思った。そんなはずはないのに。
「何か聞きたいことはないか」
「聞きたいこと?」
「今日はつばきのことを知ろうとここへ呼んだのだが…無理に訊かれるのも嫌だろう」
「そんなことは…ありませんが、」
ただ、と言って眉を顰めた。
「私は今まで西園寺家でお世話になっていました。その後、この目のこともあり追い出されました。母は体が弱く…私を養うために無理をさせてしまっていました。思い返せば、ずっと生きていることに後ろめたさがありました。母に無理をさせてきたのも事実ですから。だから正直に言いますと、あの日…私が橋から飛び降りようとしたとき、京様が引き留めてくださいましたが…―今も生きていていいのかわからないでおります」
つばきは何と言って説明したらよいか考えた。
確かにそのような力はない。京の言う通りだ。
(私には呪い殺す力はない。でも…未来を見る力はある)
本当のことを彼に言うという選択はなかった。
無言のつばきの態度は京の発言を“肯定”する。
「今は言わなくていい。ただ俺はそう思っているということをお前に伝えておく」
分かりました、と返す。
無理に聞き出そうとせずつばきに任せる姿勢に益々京の考えがわからないでいた。
まるで、大切にされているようだと思った。そんなはずはないのに。
「何か聞きたいことはないか」
「聞きたいこと?」
「今日はつばきのことを知ろうとここへ呼んだのだが…無理に訊かれるのも嫌だろう」
「そんなことは…ありませんが、」
ただ、と言って眉を顰めた。
「私は今まで西園寺家でお世話になっていました。その後、この目のこともあり追い出されました。母は体が弱く…私を養うために無理をさせてしまっていました。思い返せば、ずっと生きていることに後ろめたさがありました。母に無理をさせてきたのも事実ですから。だから正直に言いますと、あの日…私が橋から飛び降りようとしたとき、京様が引き留めてくださいましたが…―今も生きていていいのかわからないでおります」