華に浪漫~夜伽のはずですが溺愛されています~
何度かつばきの呼吸が苦しくならないように唇を一瞬離してくれるが、徐々にそれも無くなっていく。つばきは京の背中に自分の手を回した。
大きな背中を感じると少しだけ安心する。

「っ…はぁっ…も、申し訳ありませんっ…呼吸が、」
「苦しい?」

思わず顔を背けてそう言った。
いつの間にか浴衣が開け、肩が露出していた。京がつばきの顔を覗き込む。

「ごめんなさいっ…慣れて、いなくて…次からは京様に満足していただけるよう…」
「いい、別に慣れろとは言っていないだろ」
「でも…」
「俺の名を呼んで俺の隣にいてくれたらそれでいい」

どうして彼がここまで自分に優しいのか、ここまでしてくれるのか分からない。
でも、はっきりしていることは彼を愛してしまったということだ。
決して口には出来ない秘めた感情を…―。
京がつばきの足の間に割って入る。そのまままた唇を塞がれる。
はしたない声を上げ、耳を塞ぎたくなる。自然に漏れ出る嬌声が寝室に響き渡る。これは仕事なのだから、夜伽として個人的な感情を抱くのはいけないことだろう。
しかし、今のつばきは京だから抱かれたいと思っていた。

「嫌だったらやめる。言ってくれ」

微かに首を横に振る。それ程にしか体を動かせない。
全てが初めてだった。丁寧な愛撫も、全部。
「嫌ではないということか?」
「も、ちろんです…京、様…」

京が優しくつばきの手を握った。
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