華に浪漫~夜伽のはずですが溺愛されています~
と。
「それは許されません」
「みこさん…」
襖が開き、どこから聞いていたのか不明だがみこが現れた。
「女中たちへの口止めならば私が何とかできる範囲ですが、京様に知らせないというのはルール違反です。何かあれば些細なことでも報告するのが私の仕事ですから」
「そうだよね。女中頭のみこさんがこういうなら仕方ないよ。それにどうせなら犯人探してもらった方がいいと思うよ」
「…でも、」
珍しくつばきの中では譲れない思いがあった。
―ここを出ていくしかない。
それだけは変わらない決意ではあったが、どうしても迷惑を掛けたくはなかった。
きっと彼ならば犯人を捜そうとするだろう。そうすれば費用も時間もかかるだろう。
忙しい京にそれをさせることはしたくはなかったし、これはつばきの問題だ。
早いうちにここを出よう、買われた身でありながら勝手にここから出るのは間違っている。
でも、誰かに迷惑がかかる前に、早く。
「あの、みこさん、お願いします!京様には…っどうか、話さないでいただけないでしょうか。紙がばら撒かれていた程度の“悪戯”です。大したことはございません。それにこれは私へのいたずらです。京様に危害が加えられる可能性はほぼないと思っております」
「…ですが、京様はあなたのことも相当大切になさっています。私はつばきさん、あなたにも何かあれば困るのです。私は京様に一生仕えると決めてここにいます、京様のことを第一に考え仕事をしているのです」
「それは許されません」
「みこさん…」
襖が開き、どこから聞いていたのか不明だがみこが現れた。
「女中たちへの口止めならば私が何とかできる範囲ですが、京様に知らせないというのはルール違反です。何かあれば些細なことでも報告するのが私の仕事ですから」
「そうだよね。女中頭のみこさんがこういうなら仕方ないよ。それにどうせなら犯人探してもらった方がいいと思うよ」
「…でも、」
珍しくつばきの中では譲れない思いがあった。
―ここを出ていくしかない。
それだけは変わらない決意ではあったが、どうしても迷惑を掛けたくはなかった。
きっと彼ならば犯人を捜そうとするだろう。そうすれば費用も時間もかかるだろう。
忙しい京にそれをさせることはしたくはなかったし、これはつばきの問題だ。
早いうちにここを出よう、買われた身でありながら勝手にここから出るのは間違っている。
でも、誰かに迷惑がかかる前に、早く。
「あの、みこさん、お願いします!京様には…っどうか、話さないでいただけないでしょうか。紙がばら撒かれていた程度の“悪戯”です。大したことはございません。それにこれは私へのいたずらです。京様に危害が加えられる可能性はほぼないと思っております」
「…ですが、京様はあなたのことも相当大切になさっています。私はつばきさん、あなたにも何かあれば困るのです。私は京様に一生仕えると決めてここにいます、京様のことを第一に考え仕事をしているのです」