次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
私はパスタを食べてデザートまでいただくとお開きになった。お父さんたちも私たちそっちのけでビジネスの話をしていたみたいだし機嫌がいい。
「……今日はありがとうございました。楽しかったです」
「俺もとても有意義だった。ありがとう……ちょっと待って」
更科さんはスーツのポケットから名刺ケースを取り出すと一枚名刺を出して何かをサラサラ〜っと書き込んだ。
「これ、俺のチャットアプリのI Dと電話番号。登録しておいて、連絡するから」
「えっ!」
「今度、デートしよう」
そう言うと更科さんは駐車場へと行ってしまった。私はなぜか胸がドキドキして、それがなかなか治まらなかった。お父さんに声をかけられるまで私はずっとボーッとしていた。