次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。


「はい、できた」


 シートベルトの装着音が聞こえると彼が私の方を見たためとても近かった。更科さんはスッと退くと「ご、ごめんっ」と呟いた。


「いえっ! シートベルトあ、ありがとうございます……助かりました」


 思い出すだけで体が熱くて熱でも出るんじゃないかってくらい熱い。


「……じゃあ、出発させるね」


 更科さんはエンジンをかけると車を出発させて駐車場から出た。車を走らせて十五分くらいでランチを予約したお店に到着した。現在十一時、少し早めにやってきたのにたくさん人がいる。

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