次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
「たくさん人、いますね」
「予約しといてよかったね」
そう更科さんは言うと一発で駐車して見せた。少し砂利道なのに簡単にビュンと停めてエンジンを切る。
「さ、降りようか」
「はい」
行きと同じようにエスコートされ降りると「大丈夫?」と聞いてくれる。私が頷くと歩幅を合わせてお店まで歩いてくれた。
「――あの人、めちゃくちゃかっこよくない!?」
「――うん。でも、あれ彼女じゃない?」
「――え〜妹じゃない? 顔、幼いし」
更科さんがかっこいいのは同意するけど、妹って言われるのは何気にショックだなぁ……確かに背は小さいし、童顔で幼い感じなのは本当だけど。
「和紗ちゃん、手出して」
「手、ですか?」
「うん」
私は言われた通りに手を出すと更科さんも手を出して優しく繋いだ。