次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
「妹なんて、言わせないから」
「あ、ありがとうございます……」
私がお礼を言うと先ほど話していた子たちは「彼女か〜」「イケメンだもん彼女いない方がおかしいよ」と言い始めて店内に消えてしまった。私たちもお店に入ると店員さんに予約した旨を伝えるとすぐに案内された。
席に案内されて予め頼むものを決めていたはずなのにメニュー表を見たら目移りしてしまう。
「迷ってる?」
「はい……なんだか、メニュー表見たら目移りしてしまって」
「じゃあ、二人で別のやつ頼んで半分こする?」
半分こ! とても魅力的だけど、この前会った人と半分こっていいのかな?
恋愛経験なさすぎてわかんないけど、更科さんがいいって言ってくれているならいいんだろうか……
「で、何と何を悩んでるの?」
「えっと、この肉味噌とろ玉ご飯セットと梅おかかご飯セットで……」
「俺も同じだ。やっぱり別々で頼んで取り皿も持ってきてもらおうか」
「は、はい。更科さんがよければ」
更科さんは「もちろんいいよ」と言うと店員さんを呼んで注文してくれた。