次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
◆佑side
彼女を家に送り届けた十五時。
中学生のデートかい、と突っ込みそうになるがそれは仕方ない。彼女――お見合い相手の和紗ちゃんはとてもピュアだからだ。
「……手、繋いだだけで赤くなるくらいだもんなぁ」
近づくだけで赤くなり、手を繋ぐと頬をもっと真っ赤に染めた彼女は本当に可愛らしいし愛らしい。こんなピュアな子を俺には本当に勿体無いと思う。
俺は誰もが知る更科銀行の跡取りとして生まれた。だから、跡取りとして厳しい教育を受けて今は取締役の役職をさせてもらっている。
二十代の頃は次期頭取とチヤホヤされていたが、もう四十歳。なのにまだまだ親父が社長の座を降りないため俺が優秀じゃないだとか言われる始末だ。
「孫、ねぇ……」