次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。


「まー、しょうがないか。イマガワの長女なんだろ?」

「……そうだよ」

「イマガワの長女は、箱入り娘。蝶よ花よと育てられ中・高・大は女子校で男とは無縁だった。幼馴染が男らしいけど、お兄ちゃんみたいな存在で異性としてお互い意識はしていない、と」

「……なんで、知ってんだ」

「有名じゃん、味噌屋イマガワは全国的にも有名だし俺が女の子で知らない子はいないよ〜」


 そう軽く言う遥は正真正銘のプレイボーイで、女性好き。今はだいぶ落ち着いたが、こいつに聞けばなんでも知っている気がする……


「そんな目で見ないで!? 全国的に、は盛りすぎたって! 今は昔ほどは遊んでないし!」

「別に遥のプライベートは聞いていないし、どうでもいい」

「冷たいなー」


 少し冷めてしまったコーヒーに口をつけると「そうだ」と遥がポケットからチケットを取り出した。


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