次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。


「結構空いてますね」

「そうだね、プレオープンだから人も制限してるんだよ」


 駐車場に停めてアウトレットパークの敷地内に入るとスタッフさんに案内パンフをもらった。


「まず、どこに行きますか?」

「どうしましょうね」


 パンフレットを見てみるけど、ここといって行きたい場所がわからない。


「一周回ってみようか、何かあるかもしれないよ」

「そうですね……広いですし、ね」

「うん。気になった場所があったら遠慮なく言って」


 そう言った佑さんは私の手を取って握ると歩き出す。彼は歩幅を合わせて歩いてくれてとても歩きやすかった。入りたい店屋が特になくて十五分くらいで回り終わってしまった……気づいたらもう、お昼の時間を過ぎていた。



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