次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
「ち、違いますっ……佑さんは、とても優しいです。ただ、私の、問題で」
「和紗ちゃんの?」
「私と、いて……楽しいでしょうか。佑さんなら、もっといい人いそうなのに私なんかが相手で申し訳ないと思って」
「……なんだ、そんなことかぁ。俺は、和紗ちゃんといて楽しいし新鮮でとても心地いい」
そう言った佑さんは私の頬に触れる。
「俺が出会った中で、一番、和紗ちゃんが可愛いよ」
「ぇ……あ、」
「俺の方こそ、和紗ちゃんは俺でいいの? 和紗ちゃんこそ、同年代の方がいいんじゃないかって申し訳ない。俺と婚姻を交わす予定だった彼女は三十代だったろ?」
「私は、恋愛とかしたことなくて同年代がいいとかわからないですが……私は佑さんなら一緒にいたいって思いますっ」
思わず叫んでしまって、店内が静まってしまった。は、恥ずかしい……!
「ご、ごめんなさい」
「いや、大丈夫だよ。ありがとう、嬉しいよ」
「……っ……」
爽やかに笑う彼に目を逸らしてお冷をチビチビ飲んだ。胸が高鳴る中、もう何を話せばいいのかわからなかった。