次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
「えっ、渋滞ですか?」
「うん……日付け変わるかもしれない」
現在十七時、私たちは急に変わった天気に戸惑っていた。夕方は天気が良かったんだけど、急な雨と雷で高速道路が渋滞していると情報がスマホに通知された。
「和紗ちゃんさえ良かったらどこか、ホテルでも泊まろうか……」
「え、ホテルですか?」
「うん。こんな天気じゃ車でも危険かもしれない。いっそ、宿泊した方がいいかと思って」
「そ、うですね……でも、佑さん明日仕事じゃないですか?」
今日は月曜日だし、明日は普通に仕事のはずだ。それにホテルだなんて……
「それなら大丈夫。明日は午後からなんだよね……ホテル、探してみるよ」
「……す、すみません」
佑さんは、スマホで調べながら電話を何件かかけてくれてなんとかここから近いホテル二部屋空いていて移動することになったのだが……
――なぜか、同じ部屋にいるのはなんでなんだろう?