次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
◇突然のお泊まり


「お風呂、お先にありがとうございました……」


 お風呂に入りバスローブを着て部屋に戻ると、佑さんはジャケットを脱いでスマホを弄っていた。


「和紗ちゃん、おかえり。……じゃあ。俺も入ってくるね」


 見る限り余裕な佑さんと違い、私は心臓がバクバクして壊れちゃいそう……

 こうなってしまっているのは私たちがホテルの受付にきた時に遡る。本当は二部屋予約したはずなのに、手違いで一部屋しか予約してなかった。観光地で遊園地のオフシャルホテルだからかもう予約は埋まっていて二人で泊まることになった。

 なんだか、ドラマとかにありそうなベタな展開だがそんな出来事を自分が経験するだなんて思わなくて今も驚いている。心臓が激しく動いているのがわかる。
 ソワソワしていると、浴室のドアが開く音がした。


「……っ……」


 今、着替えているのだろうかと考えるとさらに心臓が加速し呼吸困難になるんじゃないかと思ってしまうほどに。


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