次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。


 普通なら、嬉しい言葉なんだろうけど……今、その言葉を言われたら私にはやはり魅力がないのかもしれないと思ってしまう。


「それ、は……」

「ん?」

「私に、魅力がないからでしょうか」

「……え?」


 男の人は、異性が目の前にいたら襲いたくなるって性欲が出るんだって大学生の時にサークルで誰かが話していたのを聞いたことがある。


「私が、子どもっぽいからですか? 元々、女性として見てないからですか?」

「そんなわけないでしょ? 和紗ちゃん、どうしたの?」

「だ、だって学生の時クラスの子たちが目の前に異性がいたら男の人は襲いたくなるとか言ってた……」

「え」

「それに体の相性が悪いと、関係が悪化して最悪別れるかもって」

「えぇ!?」


 佑さんは手を額に当ててため息を吐いた。

 やっぱり私には魅力は感じられないんだ、ため息を吐くほどだから魅力の『み』の字もないんだとショックを受ける。


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