次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
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朝起きると、とても気持ちよさそうに眠っている佑さんが隣に寝ていた。私は起き上がり、不意に昨日のことが思い出される。
「……き、すをしちゃったんだよね……」
思い出しただけで唇が熱く感じて指で唇に触れる。
「……熱い」
私は彼から離れようとベッドを降りるとスマホを探した。スマホの電源を入れて電話帳の【お母さん】というページをタップし、電話のマークを押した。
今の時間は六時だしきっといるはず。
『――なっちゃん?』
「うん、おはよう。お母さん……あの、外泊しちゃってごめんなさい」
『そんなこといいのよ? だって昨日、更科さんから丁寧な連絡いただいたし。夕翔さんにも、連絡してくださって』
「お父さんにも……?」
『えぇ。何を話したのかわからないんだけどね、更科さんなら安心だって言ってたわよ』
「そ、なんだ」
『そうよ〜まぁ、気をつけて帰ってきてね。更科さんによろしくね』
私は頷くと電話を切った。電話を切って彼の方に目を向けるともう起きていて「電話してたの?」と問いかけられる。