次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
「和紗ちゃん、今大丈夫かい?」
「どうしたの、祥さん」
私を呼んだのは祥子さんでもうすぐ八十歳になるスーパーお手伝いさんでベテランの中のベテランだ。昔から厨房で働いてくれているらしい。
「坊ちゃん……いや旦那様が呼んでますよ」
「お父さんが?」
祥さんはお父さんが小さい頃からいるからずっと坊ちゃんと呼んでいるらしくて今だにそれが抜けないらしい。
娘の私がいても普通に坊ちゃんって言うんだもん……だけど、お父さんの反応が可愛くて面白いから私は突っ込まないでいる。
「えぇ。大事な話だとかで……私はなんも知らんもんで」
「わかったわ。祥さんありがとう」
ちょうど退勤時間だったのでみんなに「お先に失礼しまーす」と挨拶をすると、そのままお父さんがいる部屋に向かった。
そこにはお父さんとお母さん、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんがに蓮伯父さんがいる。なぜか全員集合状態に驚きつつも「和紗、そこに座りなさい」と言われ座った。