次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
「ありがと、和紗ちゃん。だけどお土産は申し訳ないから買いに行くよ」
「えっ! きてくださるんですか?」
「うん、和紗ちゃんにも会いたいからさ」
「嬉しいですっ……じゃあ待ってますね」
会話を挟みながら十五分ほどで食べ終わるとお皿を片付ける。今日は平日、もちろん佑さんはお仕事の日だ。だから早くここを出ないといけない。
「和紗ちゃん、俺やるから支度してきて。スウェットで帰すわけにはいかない」
「……そ、そうですね。着替えて来ますっ」
私は寝室に行くと、お泊まりセットで持ってきたカバンの中から白のワンピースとニットビスチェを取り出すと着てカバンを持ってリビングに戻った。リビングでは、もう完璧にスーツを着こなしている彼が待っている。
「お待たせしました、佑さん」
「待ってないよ、じゃ行こっか……おいで」
「はいっ」
佑さんの近くに行くと「今日の服も可愛いな」と耳元で囁かれて顔が熱くなった。
「……っ、そ、そ、そんなこと言ったら佑さんの方がかっこいいですっ!」
「ありがと、和紗ちゃんに言われるととっても嬉しいよ。キスしたくなっちゃう」
「な、な、なっ……!」
「そんな真っ赤な顔して、してほしいの?」
そう佑さんは色っぽい声でいうものだから「は、早く行かないと仕事遅れちゃいますよ!」と噛み噛みで言えば、彼はなぜか爆笑して頭をポンポンと撫でた。
「……ありがとうございました、佑さん」
「うん。じゃあ、また連絡するから」
私は佑さんに家まで送ってもらうと、荷物を部屋に置いて作務衣を着るとお店の方へ向かった。