次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。

◇大好きです。

「――和紗ちゃん、体調は大丈夫？」

「はい、……なんとか、大丈夫です」


　声を絞り出して、言葉が途切れながら呟く。だけど佑さんと目を合わせるのが辛くて目線を逸らすように俯いた。


「俺は何か和紗ちゃんにしてしまったかな？」


　佑さんは優しい声で私に問いかけると「もし、してしまったなら謝るよ」と言った。


「……謝らないでも、いいですよ」


　布団の上に手を乗せて手をぎゅっと力強く握れば布団にシワができていった。


「私、佑さんのこと怒ってもいないし謝られることされていません。感謝しかない……こんな、年下の娘と付き合ってくれたんだから」

「……え？」

「元々は、私みたいな小娘が佑さんと釣り合う訳がなかったんです……っ」

「なにを、言って……釣り合うとか釣り合わないとか、誰かに何かを言われたのか？」


　私があの熱愛のニュースを見ていないと思っているのか、それには触れない佑さんは本気で私が何かを言われたと思っている。