たとえこの世界から君が消えても
第1章 君がこの世界にいた30日間
大切だって気づいたのに。まさか、君がいなくなるなんて考えもしなかった–––––。





「B組の中澤(なかざわ)。あいつ、彼女持ちの部活の先輩にキスしたらしいよ。そのせいでそこのカップル別れちゃったんだって」


「うっわ、何それ。中澤ってあの地味な?地味でブスで相手にされないからってさすがにキスは最低」



また始まった、とお弁当箱の中に視線を落としながら心の中で呟く。



「私、地味女が一番嫌いだなー」



きれいに巻いたポニーテールが特徴の坂本加奈(さかもとかな)の言葉にどきりとする。



「だよねー。私も」



加奈の隣に座る外ハネボブの笠井絵里(かさいえり)がケラケラと笑いながら言った。



「見てるだけで苛つくし、なんでこんなのが学校来てんの?みたいな」



私の隣に座る相川美奈(あいかわみな)がストレートの黒髪をかきわけながら何気ない顔で言った。
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