たとえこの世界から君が消えても
次の日の昼休み。



いつもよりも早くお弁当を食べ、加奈たちに断りを入れて図書室まで走る。


もしかしたらまた来ないかもしれない、という考えが頭をよぎったが、構わず勢いよく扉を開ける。



昨日と同じくぶわっと顔面に風が吹き付けてきて目を閉じる。


また誰かが窓を開けっぱなしのようだ。



「…びっくりした。どうしたんですか、そんな慌てて?」


「ああ、よかった、いた…」


「え?」



四人がけテーブルのうちの一つに座り、小説を広げていた蓮くんが不思議そうに首を傾げた。



「昨日の放課後いなかったから、もしかしたらもう来ないのかなって思って。また蓮くんと話したかったからそれは嫌だなって…」



って、私ってば何を言っているの?まるで告白みたいじゃないか。



「…昨日の放課後は、バイトがあってすぐ帰りました。放課後は基本的に来れないです」


「そう、だよね。ごめんね…」
< 10 / 70 >

この作品をシェア

pagetop