たとえこの世界から君が消えても
蓮くんの事情も知らないで私、何勝手なことを言っているんだろう…。


軽い後悔に俯いていると、ぽんっと頭に優しく手を置かれた。



「昼休みは暇だし、毎日来ますよ」



蓮くんに優しく微笑まれ、どきりとする。


…どうしてこんなにも、ドキドキするのだろう?



その日から毎日、蓮くんと昼休みの短い間は一緒に過ごすようになった。


昼休みに図書室を利用する人はここ最近全くいなくて、二人きりの毎日が続いていた。



「今日も雨か…」



六月も中旬を過ぎ、梅雨真っ只中の今日も朝からずっと雨が降っている。



「雨の日って図書室も寒いよね。図書室の暖房、去年から壊れてるんだよー」


「あ去年から?どうりで寒いと思いました」



スカートの下にタイツを履いているが、寒さは全然変わらない。



「ふ、ふえっくしゅ」



変なくしゃみをしてしまい、しまった、と顔が熱くなる。
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