たとえこの世界から君が消えても
翌朝。


登校するとなぜか教室がいつもより騒がしかった。



「あ、陽菜おはよー」



私に気づいた加奈がこっちこっち、と手招きをしてきた。



「おはよう。どうかしたの?」


「今日転校生来るらしいよー」


「イケメンかな!イケメンがいいな!」


「転校生との恋とか萌えだよねー」



楽しそうに盛り上がる加奈たちに相槌を打っていると、チャイムが鳴り担任が入ってきた。



「ほら座れー。えー最初に今日からこのクラスに入る、転校生を紹介する。入ってこいー」



教室に入ってきたのは、とても美人な女の子だった。


顎できれいに切り揃えられている黒髪が、歩くたびにさらさらと揺れている。



佐倉紫音(さくらしおん)です。転校なんて初めてで緊張するけど、これからよろしくお願いします」



にこっと可愛く笑った佐倉さんに、男子たちがざわっと騒ぎ出した。
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