たとえこの世界から君が消えても
「は?なに」


「私の鞄、どこにやったの?トイレに行く前はあったんだけど」


「はー?そんなん知らないし。うちらのこと犯人扱いしないでくんないー?」



ケラケラと楽しそうに笑う加奈たちが隠したのは、一目瞭然だ。



「…もういい。付き合ってらんない」


「あ?おい待てよ、なんだよその態度」



教室を出て行こうとする佐倉さんの腕を加奈が素早く掴んだ。



「いっ…た。離してよ」


「犯人扱いしたんだから、謝れよ」


「…なんで?あんたたちが隠したんでしょ。探しにいくんだから早く離して」


「あんた、まだわかんないみたいだね。明日から学校来れなくしてあげようか?」



今にも飛びつきそうな勢いの加奈に、何か言わなきゃ、と口を開く。



…何かって、何を?


頭が真っ白になってしまい、何もできずに立ちつくす。
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