たとえこの世界から君が消えても
どうしよう、何を言えばいいの…?また私は何もできないの…?



ー『自分の気持ちを押し殺さないで、後悔しないで』



ハッと顔を上げる。



…そうだ。何か、じゃない。思うことを思うままに伝えればいいんだ。


私の気持ちを、素直に。



「わかんないみたいだから、もっかい…」


「もう、やめようよ加奈」



静まり返った教室の中、私の速い心音だけが耳に聞こえてくる。


怖い。怖い。でも、ここでやめてしまってはダメだ。



「…なに?陽菜、今なんて言った?」



にっこりと笑っている加奈に顔を覗き込まれ、びくりと体が反応する。


笑顔を浮かべているけど目は笑っていない。



「…もう、やめようよ。ずっと思ってた。悪口とか、嫌がらせとか、今まで何も言えなかったけど、本当は見てて辛かった。加奈たちは楽しいのかもしれないけど、されてる人たちはどんな気持ちだと思う?加奈たちに怯える日々はどんなものだと思う?もう、こんなことやめよう」
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