たとえこの世界から君が消えても
声が、体が、恐怖で震える。


でも後悔はない。胸につっかかっていた何かが取れたかのように、すっきりとしている。



「ぷっ、あはは!」



急に笑い出した加奈に、ぎょっとする。



「陽菜ってば、なに急に善人ぶってんのー?あ、新手の冗談?笑えないからやめてよー」


「…冗談なんかじゃ、ないよ」



ぴたりと笑うのをやめた加奈が、怖いくらい真顔になる。



「陽菜のくせに、何説教してんの?大体、全然うちらと合わないあんたのこと、渋々今までグループ入れてあげてたんだから、感謝すれば?全部うちらが悪いみたいに言ってるけどさ、今までなーんにもしないでそばにいたあんただって同罪だからね?勘違いしないでくんない?」



ドンっと加奈に突き飛ばされ、後ろに倒れそうになる。


だが、寸前のところで誰かに支えられた。



「おまえらと鮎川を一緒にすんなよ」


「は?なに奏多まで。どう考えたってそいつだっておんなじでしょ?私が間違ってんの?」
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