たとえこの世界から君が消えても
驚いて見上げると、珍しく怒りを露わにしている中村くんが、加奈を睨みつけている。


いつもニコニコしている中村くんが、こんなに怒っているのは珍しい。



「そ、そうだよ！鮎川さんは全然違う！私の上履きが隠された時に、一緒にさがしてくれたもん！」


「私も私も！足かけられて転んだ時に、絆創膏くれたよ」


「俺も鮎川がおまえらの代わりに嫌がらせされてたやつに謝ってるとこ見たことあるー」


「おまえらと違って掃除とかちゃんとやってるしな」



クラスメイトの言葉に、呆気に取られる。



「鮎川が何もしないでそばで見てた？ちげぇよ。鮎川はちゃんと嫌がらせを受けたやつらに寄り添ってたよ。おまえらこそ、今まで見捨てないでそばにいてくれた鮎川に感謝しろよ」


「なっ…！なんなのあんたたち！あーやだやだ。こんな学校、もうやめてやる！みんな死ねばいいのに！」



精一杯の強がりの言葉を吐いて、加奈が教室を出て行った。


その後を二人が慌ててついていく。



「うわ、鮎川大丈夫か？」



安心したからか、足の力が抜けてその場に座り込む。
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