たとえこの世界から君が消えても
嫉妬?そんなわけない。


そんなわけ…。



「陽菜、こっち向いて」


「やだ…っ」



奏多が他の人に触られるのが、たまらなく嫌だと思った。


こんな気持ち、知らない。



「陽菜」



優しい声で名前を呼ばれる。


奏多に両手をゆっくりと外されるが、抵抗できなかった。


奏多の顔が近づいてきて、ゆっくりと唇が重なった。



頭上では、大きな音を立ててたくさんの花が咲いている。



「わあ…きれい…」



しばらく黙って二人で花火を見上げていると、奏多に手を握られた。



「…俺、ずっと陽菜のこと好きだったんだ。いつからかなんて覚えてないけど、気づいたらいつも目で追ってて…。強いけど、本当は誰よりも傷つきやすくて泣き虫で、それでも頑張る陽菜が大好きなんだ。俺と、付き合ってくれませんか」


「…っ。私で、よけれ…っば…っ」



ちゃんと言いたかったのに、声が震えて言葉が出てこないし、涙で奏多の顔がちゃんと見えないしで最悪な返事の仕方になってしまったが、奏多は笑って抱きしめてくれた。
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