たとえこの世界から君が消えても
「奏多はいいよね!陽菜と同棲するんだから!ずるいずるい!」


「ははっ。陽菜は俺のだもん」


「陽菜!私、週に三回は泊まりに行くから!」


「え本当?やったあ」


「うわ、そんな来んなよ!」



いつものやり取りに、三人して吹き出す。



「さて、じゃあ私はみんなと写真撮ってくるから。後は二人で楽しんでー」



紫音がみんなの輪に走っていくのを見送ってから、奏多を見上げる。



「俺らは…どうするか」


「校舎行こうよ。今日で最後だしさ」



奏多と手を繋ぎ、誰もいない校舎をゆっくりと歩き進める。



「あ、あそこ。俺らが二年だった時の教室じゃん。懐かしいー」


「本当だ。今は一年生の教室なんだ。一年生ってことは、奏多の弟くんの学年だよね?」


「そうそう。弟の彰人(あきと)の学年」


「彰人…?」
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