たとえこの世界から君が消えても
「本当、もったいねーな。今月入って告白された回数五回以上だろ?しかもみんな可愛い子ばっかりだしさー。なのに蓮ときたら、全部断っちゃって」


「別に、好きじゃないんだから付き合う必要もないだろ」


「蓮が好きになる子とか見てみてぇーよ」



十六年間生きてきて、初恋もまだな俺は人を好きになることなんて、この先の人生であるのだろうか。


恋愛なんてよくわからない。



「あ、蓮ー。高田先生が図書室に行ってこの荷物持ってけって言ってたぞー」



昼ご飯であるコロッケパンを頬張っていると、クラスメートに段ボール箱を手渡された。



「なんで俺?」


「司書の先生が蓮の母親だからあいつに頼もう、って」


「図書室まで行くのがめんどくさいだけじゃん…」



文句を言おうにも、肝心の担任である高田先生が今いないから意味がない。


仕方なく食べかけのパンを急いで詰め込み、図書室に向かう。
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