たとえこの世界から君が消えても
「…れ、ん…」


「母さん!?大丈夫、俺が今助けるからな」



華奢な母さんの下半身も、打ったのか血の出ている頭も、このまま時間が経てば危ないだろう。


俺に力があればこんな本棚すぐにどかしてあげられるのに。


部活に入っておけばよかったと今更後悔したって遅い。



「母さん、待ってて。すぐ誰か先生呼んでくるから」



俺の力じゃ無理だと、図書室を急いで出て行こうとするが、母さんに腕を掴まれる。



「蓮、ごめんね…」


「…え?」


「蓮を不安にさせてたんだね。私がもっと蓮に向き合ってあげてれば、あんな思いさせなくて済んだのに…」



ー『いつまで経ってもガキな俺にうんざりしてんだろ!うざいんだよ、優しくされても!』



「違う…っ。俺がガキだから、母さんを傷つけてばっかりで、素直になれなくて…」
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